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ライフワークとしての学びを考えます。

これからの時代に個性をのばしていくための知恵

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現代は、どんな人でも様々な情報が豊かに入手できる時代です。
そして、時代の進むスピードも速い。
 
そうすることで、遅れをとるまいと熾烈な競争が始まる。
以前にも増して他人との強烈な比較にさらされる。
 
しかし、他人との比較はきりがない世界です。

良くなる面もあれば、失われた面も有るような気がしています。
 
例えば、ある種の独特な文化の特色が薄まりつつあるように感じることがあります。
その土地、その国の持つ濃厚な香りや文化から生まれた音楽。
 
ウィーン・フィルのような、団員の出身地や性を限定して頑固に音色を守り続けているオーケストラもあります。しかし、世界的には、どこのオーケストラも国際化し、巨匠時代のように目をつぶって聴いていても、どこのオーケストラだと分かるような強烈な個性は薄まってきている。ただ、良い面もあります。欧米だけでなく、アジアのオーケストラでも平均的には水準が上がっているのです。
 
リヒテルというピアノの巨匠がいます。
旧ソ連のピアニスト、リヒテル(1915~1997)は、私は人類最高のピアニストだと思いますが、1950年の35歳にして初めて国外に出て演奏しました。しかし、冷戦で対立していた西側諸国への演奏旅行はなかなか当局から許可が下りず、評判が伝わるのみで「幻のピアニスト」とも称されるようになったのです。
そのリヒテルが、1960年45歳にしてようやく西側、アメリカでの演奏を許可されます。
あまりの素晴らしさに、アメリカでもトップニュースとなり、聴衆が興奮したといいます。
 
リヒテルは、国外で演奏するようになって、最高の評価を得てもどこ吹く風。商業主義に全く興味がなく、生涯にわたってあまりソ連から出ることは無かったということも、リヒテルの音楽をさらに深くしていった要因の一つではないかと思っています。
 
もう一人強烈な個性をあげるとすると、旧ソ連出身のピアニスト、アナトール・ウゴルスキ。
90年に48歳でドイツに亡命。それまでソ連の中にいて世界的にはほぼ無名。もちろん西側に亡命後ですが、演奏を聞いたことがあります。他は絶対真似できないともいうべき凄まじい個性に圧倒されました。
 
これからの時代は、巨匠の出ない時代だと言われています。
 
良い面もありあます。この情報社会の中で、私たちは情報の恩恵を被っているのも確か。
世界の裏側の人ともつながることができ、最新の情報や傾向を知識として知ることが出来る。
 
ものすごい勢いで変化する現代の世の中で、流れに逆らうことはもはや不可能のように感じます。
 
個性をのばし、自分の世界を構築する、その知恵がこれから必要になってくるのではないかと感じています。

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