良い講演は良い聴衆との共同作品
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音楽の演奏は、その日どんなお客さんがいらしているかで演奏の内容が変化します。
もちろん、演奏する側も大事なのですが、お客さんが熱心に聴いてくださると相乗効果で演奏も良くなるものです。
これは、講演も同じだと思えました。
講演が無事終わると、自分が良かったのではなく、聴衆の方々が「熱心に聴いてくださったおかげ」と思います。
これは、謙遜しているわけではなく、音楽で経験しているので、余計にそう思えるのです。
音楽の演奏も、聴衆の方々がざわついていたり、携帯の着信音がなってしまうときというのは、あまり上手くいくものではありません。
以前、マーラーの交響曲第9番の一番静かな場面で着信音がなってしまい、演奏をストップしてしまった指揮者のことを記事に書いたことがあります。
携帯電話がなくてはならない現代において、難しいことだと思いますが、クラシックの演奏をしている側にとっては、携帯がなってしまうのは大変やり難いものです。その指揮者も何度か経験済みだったそうで、我慢していたのでしょう。ついに堪忍袋の緒が切れたのかもしれません。
しかし、良い演奏や講演ができるときというのは、不思議なことですが、着信音のほうがならないものです。
聴衆の皆さんも、せっかく集まったこの時間、良い講演を聴きたい、演奏会で感動したい、という真摯な気持ちをもってくださっているということが、良いめぐり合わせとなっているのでしょう。
こういう経験をさせていただくと、聴衆の皆さんというのは、本当に有り難い存在だと思えます。
そして、講演一つとってもこれは自分だけの作品ではなく、そこにご縁あって集まった皆さんとの共同作品なのだと、あらためて感じます。
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