自分で簡単にできる 脈をとることで災厄を未然に察知して避ける「三脈探知法」
音大の授業で「ナンバ式」という歩き方を指導してもらったことがあります。
通常人間は、歩くとき、右足が前に出るときは左手、左足が前に出るときは右手が前に出ます。
ナンバ式は、それが右足と右手、左足と左手が同じタイミングで前に出る歩き方です。歩いているときの体幹のブレがないので、より効率的に歩けるという方法です。力が抜けるので、歩幅も普通に歩くより20%も前に出るので、ある程度長い距離を歩く場合は体力のロスが少なく、同じエネルギーでより遠くまで行くことができるというわけです。
これを、なぜ音大で行うのか?
楽器の演奏というのは、リラックスして、よりロスのない体の使い方が必要です。そのために、体幹を鍛え、より最小限のエネルギーで動くこのナンバ式を学ぶことは、楽器演奏に良い影響を与えるのです。
私は、ボイストレーニングにも、この方法は応用できるのではないかと思っています。
ナンバ式は、武術研究家の甲野善紀(こうのよしのり)さんが推奨なさっている方法です。
甲野さんは、「express」というセゾンカードの雑誌で連載を持たれていて、古武術を現代の動きに応用する技を書いてくださっていました。毎回楽しみに読んでいたのですが、今回の7月8月号で最終回。その最終回が、不思議なお話しで興味をそそられましたので、お伝えいたします。
人間は、虫の知らせとか、根拠がなくても嫌な予感がするということが稀にあります。
それを具体的な身体の予兆で感じ取ることができるというのです。
・・・・・(以下引用)・・・・・
自分の命にかかわる災厄を未然に察知して避ける方法が、修験道の行者や武術家の間に密かに伝わっていたのである。これは「吟味」とか「三脈探知法」、その他、いくつかの名前で呼ばれていたようだ。その方法とは、自分の左右両方の頚(首)の脈を左手の親指と人さし指を当ててとり、さらにその頚の脈をとっている左腕の脈を右手の中指等でとるものである。このとき、三箇所の脈が同時に打っていれば何事もないが、脈がズレた場合何か自分の身に変事が起こるとされているのである。
・・・・・(以上引用)・・・・・
・本気にしていなかった人が脈がズレていることに気がつき電車に乗らなかったところその電車が事故を起こした
・戦争の爆撃で、脈のずれない場所に移動したらその場所だけは無事だった。
・江戸時代、朝廷からの勅使が泊まった陣屋で全員の脈がズレたので避難したところ、陣屋が土砂で埋まった。
などのことが、過去あったと記されています。
甲野さんも、三脈を確かめていて、今まで3度ほどズレた経験があったそうですが、出かけるのをやめたり、タクシーの道順を変えてもらったことがあるそうです。
野生動物が地震や災害を察知するということがあります。甲野さんは「大脳が発達してしまった人間は野生動物のよう異変を察知することはできないけれど、身体にはそれが表れているのではないか」とおっしゃいます。
ただ、自然な環境に育ったり、甲野さんのように、武術の修行を行って感覚が研ぎ澄まされるような環境におられる方のほうが、より予兆を感じやすいかもしれません。
世の中には理屈では説明できないことが多くあります。最近は、朝と出かける前にこの「三脈探知法」をしています。手軽にできるのでいいですね。
そうは言っても、脈をみるのは一つの手段。
いつも感性を磨くことを怠らないようにしていきたいと思っています。
(*脈がずれているのが、体調を崩しているのが原因でしたら、健康に注意が必要かもしれません。)