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間をとることは聴き手と素晴らしい音楽の時間を共有するためのもの

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2013年1月26日私が代表と指導を務める合唱団「コール・リバティスト」の練習がありました。
第二部の練習に、マエストロ(本番を振る指揮者のこと)にいらしていただきました。
 
山田耕筰作曲、北原白秋の作詞、増田順平の編曲の「からたちの花」アカペラ作品集より「からたちの花」「あわて床屋」「砂山」「烏の番雀の番」「青蛙」「この道」を歌いました。
 
「この道」は、「この道はいつか来た道、ああそうだよ・・・」という歌詞の誰でも知っている有名な曲ですが、難しい歌です。
 
この曲、実は間の取り方が難しいのです。
 
ショパンだったら、ショパン風の間の取り方と節回しがあります。
プッチーニだったらプッチーニ独特の歌い方があります。
それが出来ないと、ショパンでもプッチーニでもなくなるのです。
「この道」のような曲は、それと同じような難しさがあります。
 
例えば、「あ~あ、そうだよ~」というところ一つでも、節回しの研究が必要です。
 
「ああ」と感動し、少しの間をとって、「ああ、そうだったのだ」と、遠い記憶を味わう時間をとり、「そうだよ~お」と深く共感する。
そして「そうだよ~お」の「よ」の前に軽く小さな「ぃ」をつけます。その「ぃ」には、ただつければ良いというわけではなく、絶妙な「間」・・・心から共感した「間」があります。
そこを、「そうだぃよ~お」と歌うことで、味わいが濃く聴こえます。
そういうことがまるでないと、この曲は冷たく、そっけなく聴こえてしまうのです。。
 
そして合唱の難しい点は、皆さんが同じような気持ちになって演奏しないといけない点です。ゆっくりしたり、間をとったりするところは、メトロノームのような拍のきざみからは外れていますから、本当に心から音楽に共感しないと演奏がずれてしまいます。
 
音を合わせるために正しくサッサと行き過ぎてしまうのではなく、味わう時間がもっとほしいですね。
登山をしているときにあらわれる花や景色にふと足を止める。そんな感覚です。
 
味わう時間とは、つまり聴き手が共感して聴くことが出来る演奏であり、それこそが良い「間」や「節回し」なのだと思います。
 
また「砂山」という作品では、日本的な情緒を表現する響きを味わう時間が持てるといいですね。
とくに、伸びている音を味わってください。
「二分音符で正確に刻まなくては」「音を正しく歌わなくては」と思うあまりに、せっつくような演奏になってしまいます。
そうなると聴き手は味わったり、共感する時間がありません。
 
皆で歌っていても、拍を自由に伸ばしたり縮めたり、余裕を持って「間」をとったりできることが、アカペラ合唱の醍醐味ですね。
 
ぜひ情感いっぱいに演奏していただき、お客様と作品の素晴らしさを一つの空間で共有していただきたいです。

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