「良い声のために腹筋運動は必要ない」 知的で説得力のある響きを手に入れるビジネスボイストレーニング『横隔膜編』
私は、昔ある合唱団で歌ったとき、ボイトレの一環として「腹筋トレーニング」を行っていました。
今は、さすがにあまり腹筋運動をするところは見られなくなりました。
腹筋トレーニングを一生懸命行っても、スタイルは良くなるのですが、声とはあまり関係はありません。欧米のオペラ歌手などを見ていると、必ずしもスポーツマンのような体型でなくとも、それどころか、少しふくよかな方でも良い声をしているのを見ると納得できます。
実は、声は「横隔膜」だと言われています。
腹式呼吸をするには横隔膜を使えなくてはなりません。
横隔膜とは、あばら骨の一番下の斜め後ろあたりにある膜で、呼吸のときに上下して、ピストンのような役目を果たします。横隔膜が、思い通りにしっかりと動けば、良い声を出すことはかなり容易になってきます。
ただ、「横隔膜を使いましょう」と言われても、慣れていない方ですと、なかなか思い通りに使えなかったり、感覚が分かりにくいものです。
そういうときに、まず第一歩として、「犬の呼吸」をしていただきます。
これは、以前の記事にも書いたことがあるのですが、犬が夏熱いときに舌を出して呼吸している様子を見ると、お腹が呼吸に合わせてよく動いています。これは横隔膜を使った呼吸方法をしているからです。
このとき使う筋肉は、スポーツでバリバリと割れた腹筋ではありません。表面からは見えないインナーマッスルという筋肉です。この筋肉は筋力トレーニングマシンでは鍛えられません。呼吸でしか鍛えられないのです。
◆横隔膜とインナーマッスルを意識するための基本の呼吸法「犬の呼吸」
1、あごを十分に下げて舌をのばし、舌先を下の歯につける。
2、犬が呼吸しているように「ハッハッハッ・・・」と呼吸する。
☆ポイント:吸う息と吐く息が同じになるように。どちらか一方が強くなったり、空気の量に偏りが出ないように。同じリズムで、同じ強さ、同じ量で呼吸できるようにしてください。最初から早く呼吸する必要はありません。しっかりと使えていることを意識してください。
3、これを1分間続けて、2セット。途中で苦しくなるのは吸う息か吐く息かどちらかに偏っている証拠です。これを一日2回ほど行うと良いでしょう。
そして、今度は声帯と連動させるために行うトレーニングをご紹介します。
◆横隔膜とインナーマッスルを意識するための発声法 その1「役者笑い・女王様笑い」
1、あごを十分に下げて舌をのばし、舌先を下の歯につける。
2、役者笑い「あ~っはっはっはっ」、女王様笑い「お~ほっほっほっ」と思い切り笑う。そのとき、あばら骨の一番下の下部に手を当てて、しっかり動いているかどうか確認すること。上手く動いているときは良い声が出ているはずです。
さらに、自由に良い声を出すために、「お腹のビブラート」をトレーニングします。
◆横隔膜とインナーマッスルを意識するための発声法 その2「お腹ビブラート」
1、あごを十分に下げて舌をのばし、舌先を下の歯につける。
2、「はあ~~~~~」と発声しながら、先ほど使った横隔膜を動かす。
横隔膜を使えれば息は当然たくさん使いますので、発声の前にたくさん息を吸ってください。そして動かし方は均一のリズムで。音が切れないように声が豊かに揺れているのが理想です。
それでも分からない人は必殺の方法があります。
3、2を行いながらあばら骨の下の部分を両手のでグイグイとゆする。または押す。これで絶対にできます。感覚を覚えたら手を使わないでも出来るようになります。
良い声とはこの響きが必要なのです。
この感覚を覚えていただくと良い声を出すコツがつかめてきます。
ぜひ行っていただきたいトレーニングです。
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