『蔵王』の「吹雪」 ノンレガートの歌い方
佐藤眞の代表的作品、混声合唱のための組曲「蔵王」の中に、特に名曲と言われる「吹雪」があります。
「吹雪」は、ぜひ男声がかっこよく歌いたい曲ですね。
この曲は横隔膜が使えると、さらに素晴らしく歌うことができます。
私が運営・指導を努める合唱団「コール・リバティスト」では、今「蔵王」全曲に挑戦しています。
「蔵王」の「吹雪」は、一つ一つの音をノン・レガート(音をつなげないで)で歌うと、大変な迫力が出ます。
歌は、普通レガートで歌うことが多いのですが、この作品に限ってはノン・レガートで歌っていただきたいですね。以前、東混(東京混声合唱団=日本のプロ合唱団)の男声が、素晴らしいノン・レガートで歌っておられたのが大変印象に残っています。
この作品は、「か・ぜ・す・さ・び!」と、音と言葉をノン・レガートにしながらも、メロディラインがつながって聴こえるように歌います。
それでは、ノン・レガートの歌い方を説明いたします。
1、「か~ぜ~す~さ~び~」と、まずはしっかりとレガートで歌えるようにしてください。最初からノン・レガートで歌うと、音が短く切れすぎてしまい、せっかくのメロディラインが分からなくなってしまいます。
そのとき、一つ一つの音の母音をたっぷりと伸ばしながら歌ってください。そして、フレーズの頂点に向かって、しっかりとクレッシェンド(だんだん大きく)。フレーズの終わりに向かってはディミヌエンド(だんだん小さく)をつけてください。
歌は結局、母音で音程をつけます。ここで、喉が母音の音程を覚えてくれるように、しっかりと練習しておくのです。
2、「か~~ぜ~~す~~さ~~び~~」と、横隔膜を使って伸ばしましょう。これは「犬の呼吸」でも説明いたしましたが、横隔膜がしっかり使えていることが、良い音の響きにつながります。
3、、「かぁ、ぜぇ、すぅ、さぁ、びぃ」と母音を残しながら、ゆっくり切って歌います。このとき、一つの音ごとに横隔膜を使い続けてください。
4、3がなれてきたら、テンポを少しずつ速く上げていきます。横隔膜で音を一つ一つ切って響かせる感じです。
普通は、ノン・レガートというと、喉で切ってしまうケースが大変多く、いきなり音の厚みや音量がなくなって、小さく痩せた響きになってしまいます。それは「吹雪」の曲想とずれてしまうので、ちょっと残念な結果になってしまいます。
ぜひ、1~4のステップを踏んでいただき、良い「吹雪」を皆さんに歌っていただきたいですね。
女声の高音域でのノン・レガートも難しいものです。
ぜひ無理をしないで軽やかに。
声帯をきつく使いすぎると、後が持ちません。ぜひ、横隔膜を使って響きを獲得して歌ってください。