時間に遅れる「読み」の甘さと危うさ
「あの人は才能があるけど感覚だけでやっているね」
私の周辺でよく言われる言葉です
才能にあふれていて、はたから見るとうらやましいほどなのに、何か危ういものを感じる人がいます。
音楽教室を経営する、ある音楽家がいました。
その方は、良いセンスと器用さを持っていて、ほとんど練習をしなくても即興的なひらめきで演奏できる人でした。
指導方法も、直感が鋭く、なかなか的確なアドバイスをなさる。
人間的にも明るくて感じがよく、一緒にいても楽しい方でした。
ある時期、先生を探す必要があり、お願いしようと思っていたのですが、あることが気になりどうしても踏み切れませんでした。
それは、時間です。
仕事で約束をした時間に現場にいないので、電話をすると「忘れている」ということが頻繁にあるのです。
また、忘れていなくとも、連絡もなく大幅に遅刻をなさる。
私は、ビジネスをするのであれば、業界は関係なく、時間は「基本」ではないかと思っています。その基本的なことを大事にしないスタイルが気になりました
特に気になるのは読みの甘さです。時間の感覚とは、いつまでに何をすればこの時間に間に合う、と判断する「読み」なのだと思います。
才能があるから仕事はくるとはいえ、これで今後も大丈夫だろうかとこちらが心配になってしまうほどでした。
そして、あるときご一緒して気がついたのですが、仕事場のあるビルを掃除する方に対してあまり良くない姿勢で接していました。
もちろん、仕事場はそのビルの一室をレンタルしているのであって、直接お掃除をお願いしているわけではありません。
しかし、その姿勢を見て、やはりどうしても「危うさ」を感じてしまいました。
どんな業界でも素晴らしい仕事をしている方は、一見エキセントリックで感覚だけでやっているように見せていたとしても、細やかな気配りを持ち謙虚な方が多く、いつも深く感銘を受けます。
感性がするどく才能にあふれていることは、本当に素晴らしいことで、一般人がまねしようと思ってもなかなかできないものです。
しかしその方を見ていて素晴らしい専門家であることと、経営とは別ものであると感じました。
自分自身も、才能があるなしは別として、今後気をつけなければと感じています。