上達のコツは人を呼ぶこと
私はある時期、料理人になりたいと思っていたことがあります。
美味しい料理を食べると、どんな人でもにこやかになる。
こんな幸せなことはありません。上手になったら自宅で料理教室もやってみたいという夢も持っていました。
もっと上手になりたい。
もっと美味しい料理が食べてみたい。
もっと人に喜んでもらいたい。
でも、どうすればよいのか?
と考えあぐねていたところ、料理の師匠が「人を呼んで料理すれば、あっというまに上手くなるよ」と言っているのを聞き、早速、何かと理由をつけて毎週末はだれかを自宅に呼ぶことにしました。
それは本当でした。
人をお招きするとなると、その方に合ったメニューを考え、準備や段取り、材料の買出し、掃除、と真剣になります。
料理が上手くいき、ワインを開けて、お客さんが「美味しい」と言ってくださる瞬間が何よりも嬉しい。
その瞬間のために、緊張しながらも真剣に作るのです。
そして、料理を残したら、「どうしてだろうか?」と考える。もし言ってもらえるような人なら、評価を素直に聞き、次の参考にする。
自分のためだけに作っていたのでは、こうはいかなかったでしょう。
繰り返すうちに上達していくのが自分でも分かり、料理が面白くなっていきました。
そんなことを考えていたら、2012年3月31日日経新聞日経プラス1に、料理家の栗原はるみさんの記事が掲載されていましたのでご紹介します。
・・・・・(以下引用)・・・・・
料理が上達するコツを聞かれれば、繰り返し誰かを招くことだと答えています。味を試されるわけですから、緊張感を持って真剣に作ります。それが何よりの訓練です。私はどれほど忙しくても、月に数回は知人を招待し、腕を振るうようにしています。
と言っても、レパートリーが少なくて困るという人も多いでしょう。そこで、得意料理を10種類持つことを目標にしましょう。それだけあれば、同じ人でも繰り返し自宅に来てもらえます。お客様に鍛えてもらえるので、腕はさらに上がります。良い循環が生まれるわけです。・・・・・(以上引用)・・・・・
これは、音楽の演奏でも同じことが言えます。
演奏の場合は、会場や楽器のこともありますから、料理のように気軽にというわけにはまいりませんが、それでも、どんな小さなところでも、どんな方の前でも、どんどん演奏していくのが上達の一番のコツだと思っています。
レッスン室の壁相手だけでは、絶対につかめないものがそこにあります。
でも、栗原さんの記事を読んで、ここのところあまりお客様をご招待してないことを思い出しました。久しぶりに人を招いて料理してみたいですね。