「あなたはダメではない」 成功のための法則
オーケストラや吹奏楽団、また合唱団にとっても、「定期演奏会」というのは何よりも大事な演奏会です。
定期演奏会とは、自ら主催し定期的に開催する演奏会のことを言います。それは数ヶ月に一回、または年に一回ほど行われ、音楽監督(指揮者)が、その楽団が最も実力の発揮できる作品を選択し、プログラムする。
そのために、プロでも集中的に稽古を行います。
東京交響楽団や日本フィルハーモニー交響楽団などを数多く指揮してこられたY先生は、「定期はね、プロのオケにとって最も気合が入る真剣勝負の場なんだ。彼らは定期を成功させることが最優先であり、指揮者にとってオーケストラの定期をキャンセルするなんてあってはならない。こっちも必死だよ。」
定期演奏会は、まさに、「これこそ私たちの音楽です。皆さんお聴きください」という演奏会です。
2012年3月31日、合唱団コール・リバティストは、5月13日に行われる定期演奏会のために、プレコンサートを行いました。
定期演奏会まで1ヶ月と13日ありますが、2時間の全プログラムを暗譜し、衣装も同じにし、定期演奏会と同じ状態で臨みます。
お客さんは身内だけの中、大変な緊張感で真剣に演奏します。
暗譜したての曲もあり、危なっかしくても頑張って歌うのです。そういうときに "どうやって切り抜けるか" というのも体で覚えていただく。
そして、お客さんに、どうやって音楽の心を伝えるか。
練習室で壁に向かって歌っているだけでは分からないことがあります。
生身のお客さんの反応というのは、その方々を前にして実際に舞台で歌ってみて初めて感じることなのです。
こういうときは、同じ曲を歌っていても、いつも出来ているところが出来なかったり、練習室とはちょっとしたタイミングが違ってきたりするものです。
合唱団リバティストでは創立当時、定期演奏会でいきなり初めてのプログラムを演奏していました。
こうなるとベストの演奏はなかなか難しいと思います。
団員さんが「私たち、ダメなんですか?やっぱり下手なんでしょうか・・・」と演奏後、ひどく落ち込む姿をもう見たくないと思いました。
いくらアマチュアといえ、貴重な時間を使って一生懸命音楽に捧げている。
私は、ぜひ定期演奏会という晴れの舞台では、人生の花を咲かせてもらいたいと願っているのです。
定期演奏会において、楽団の一番良い演奏を実現するためには、「その日が初めて」ではどんな名人集団でもだめで、一回でも多く経験しておくことが大事だと考えています。下手ではないのです。経験がないだけ。
そのためのプレコンサートです。
この日は、リハーサルで、マエストロから「皆さん、暗譜の怪しいところで目が泳いでいる。目が泳いでいる姿なんてお客さんは見にきているわけではないのです。音楽を感じにきているんですよ」と檄を飛ばされながらも必死で歌っていました。
しかし、本番では気合が入って、ずいぶん良い音になっていましたね。
やはり暗譜すると音が良くなるのは本当だと思いました。
また、今後、定期までに残された数回の稽古で何をやるべきか。要点が見えてきました。一回一回有意義な練習になると思います。プレコンサートのもう一つの大きな意味はそこにあります。きっと定期演奏会が終わる頃には、「プレをやってよかった」と感じると思います。
皆さん、よく頑張りました。
そして、電車のダイヤも乱れるほど嵐の日で、コンディションも悪い中いらしてくださったお客様、本当に有り難うございました。