緊張感を持って人の前にさらされ評価をうけ工夫をくりかえす
ある先輩シェフが、新しく店を出した新進気鋭のシェフに対して言っている言葉が印象に残っています。
「なぜ夜の営業だけなの?ランチをやらないの?ランチをやれば体力的に大変なのは分かる。努力してるのも分かる。しかし、まだ若いのだから、今はランチをやってお客さんと向き合う回数を重ねることだよ。それが上達への早道なんだ。」
しかも、ランチだからといって、お客さんは味に区別しません。
ランチとディナーではお値段が違うのだから素材も内容も違うのは当然ですが、お客さんにとっては、お安くても美味しいか、美味しくないか、そのどちらかなのです。
どんな場合でも手が抜けない。
おのずと緊張感のある料理を作ることになります。
そして良い店は、料理を残すと、どうしてなのか「問題ございましたでしょうか?」と聞いてきます。
言い訳をせずに素直に聞いてくださるところは素晴らしい店です。
反省と工夫を繰り返し、昇華させていくためです。
そんな反省と工夫を何回重ねたか。
真剣な料理を何回作ったか。
10年後、20年後に圧倒的な差がついてくる。
先輩シェフは、そのようなことを言いたかったのではないでしょうか。
今でも心に刻み込まれています。
「一万時間の法則」というのがあります。
どんな物事でも、継続して一万時間を越えるとその道の一流になるといいます。
これは、努力を繰り返すだけではない。
自分が緊張感を持って真剣になり、さらに、人の目にさらされて、人の評価を受けることを繰り返す。そして素直にな気持ちになって反省し、工夫する。
それは「努力」ではなく「工夫」です。
プロフェッショナルを目指すならば「努力」は当たり前。
「工夫」することこそ成長にとって最も大事なことだと考えます。どれだけ工夫する時間を持てるか。工夫はしんどいこともありますが、楽しくクリエイティブな作業です。
そのような時間をかけて初めて一流になれるのだと信じています。一流とは一つの流れ。その人しか出来ないものを目指したいですね。