「良い声だと叱られても心に入る」 モテる良い声にはただ一点。
先週、ある企業で「ビジネスにおける人前で話すときの発声法」の講師を務めてまいりました。
最近「モテ声」と言われ、声が良いと得をする時代になっています。
極端なことを言うと、良い声だと、叱られても不思議に素直に聞く気がおきるのですよね。なぜか後に残らないのです。
私がよく「モテ声」の例にあげるのが、政治学者の姜尚中さん。
あのビロードのような声で叱られても、そんなに嫌な気持ちはしないような気がします。
彼は、過激な発言も多いのですが、なぜか人気が落ちないですよね。
今、良い声と思える政治家や経営者、エグゼクティブなどは、表面的には言いませんが、必ずトレーニングについています。
やっている人は、聴けば「これは天然じゃないな」とすぐにわかります。
逆に、せっかく良いことを言っていても声で損をしている人が多いのですよね。もったいないです。
この日は第一回で、モテ声になるための声作りを行いました。
幼稚園のそばを歩くと子供たちの声ってよく響いてきますよね。
人間は「オギャー」と生まれたときの声が一番素晴らしいと考えます。
成長する過程で、親から「そんな声を出したら恥ずかしいからやめなさい」とか、学校の先生から「おしとやかに話しなさい」とか、恋人に「あなたの声は変よ」などと言われ続け、だんだんと、声にいろんな洋服を着せていってしまいます。
ボイストレーナーの仕事は、まず、その人の洋服を一枚一枚はぎとってあげること。
その人の中には、長い間かけて築かれた「この声が素敵」とか「こういう声じゃないとな」という思い込みがあるので、思考の転換をしていただくのはそう簡単ではありません。
ここで、皆さんの「本来もっている素晴らしい素質」を見つけて、気がつかせてあげるもです。
そして、そこが完了したならば、次は良い声を出すために「忘れていることを思い出させてあげる」のです。
忘れていること。それはただ一点のみ。
「腹式呼吸」です。
私は、「声は息」だと考えます。そのためには呼吸なんです。
普段は腹式呼吸を使わなくても生活できるので、すっかり使っていないのですよね。特にデスクワークの多い人は本当に使わない。実は寝ているときは皆さん腹式呼吸を平気で行っているので、本来は誰でもできるはずなのですが、「はい、やってみましょう」というとなかなかできないものなのです。
例えば、風呂のふた。
風呂のふたは、使わないときに必要で、使うときにいらないですよね?
腹式呼吸って風呂のふたなんです。本当はよく知っているはずなのですが、意識すると使えないものです。
お腹の使い方を導いてあげるだけでこんなに変わるのか、と思えるほど開眼され、私も驚くほどでした。
皆さん、素晴らしい「楽器」をお持ちなですよ。それを使わない手はありません!
次は第2回。さらに「人の心に響く声」をお伝えします。