「神話の巨人」
中田喜直作曲の「海の構図」は4曲の小品から成る混声合唱組曲です。
これが、また本当に素晴らしい。
もし、合唱は「かっこわるい」とか「宗教ぽい」などと思っている方がいたら、この4曲目の「神話の巨人」を聴いてください。歌ってみてください。
荒れ狂ったような前奏があり、合唱が歌い始めるとスケールの大きなまるでシンフォニーを聴いているよう世界に引きずり込まれてしまいます。
特に、男性がものすごくかっこいい。
「海は孤独な巨人だった」と、繰り返しハモるところは、これから始まるであろうドラマが予想されゾクゾクしてしまいます。
クライマックスも見事。
3曲目の「かもめの歌」がソプラノに回想されるところは、壮大な宇宙をイメージさせて、歌っていても聴いていても感動してしまいます。
2011年12月10日、合唱団コール・リバティストに、芸大出身の指揮者、藤本先生をお招きしての稽古を行いました。藤本先生はオーケストラの指揮者です。
リバティストは、寺子屋のような雰囲気の、大人の学びの場にしたいという夢があります。
自分自身が、音楽をやってきて、そして、様々な先生から人生の大事なことを教えていただきました。
合唱の指導者だけではなく、こういったオーケストラの指揮者の先生からも、学ぶものがあるのではないか、と思ったのです。
この日の稽古は、「神話の巨人」が初練習でしたので、音を丁寧に読んでいく作業が中心になりました。
「合唱なんだから、もっと全体であわせる練習をすべきではないの?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、合唱でも、オーケストラでも、パートの練習が最も大事です。
パートごとを細かく稽古し、そのあと、少しずつパートを組み合わせて練習していきました。
構成的に練習していくのは、オーケストラの練習でもよく行います。
通して勢い良く歌えば気持ちよいことは確かなのですが、これでは細かいところが見逃されてしまい、いつまでもクオリティが上がっていかないのです。
地味かもしれませんが、パートの練習はものすごく必要です。
そして、これもまた地味かもしれませんが、「ゆっくり」歌う練習。
プロのオペラ歌手でも、本番の前は「超スローモーション」で歌い、丁寧に確認しているそうです。
大事なときに出来るかどうか心配なので、直前に本来のテンポで歌って安心したくなるのですが、これをすると失敗の元です。何度も何度もリハーサルにテンポで通してしまい、失敗している人をたくさん見ていますので、よくわかります。
初めての先生でしたが、皆さん何をつかみましたか?
音楽は一瞬のものです。つかむのは一瞬だと思っています。
良い物をつかんでいってくださいね。