オルタナティブ・ブログ > 大人の成長研究所 >

ライフワークとしての学びを考えます。

過去の偉大な作品から新しいものを生み出す

»

プッチーニ作曲のオペラ「蝶々夫人」という作品があります。
 
舞台は長崎。
ピンカートンというアメリカの海軍士官と長崎の芸者蝶々さんの悲しい恋の物語です。
 
芸者屋さんに行って、可愛い蝶々さんに一目ぼれしたピンカートン。蝶々さんと結婚式を挙げて3年後に帰るからと言いアメリカに帰ります。しかし、3年たってもピンカートンは帰ってきません。それもそのはず、ピンカートンは、アメリカにいる本当の恋人と結婚していたのです。蝶々さんには、すでにピンカートンとの子供がいました。アメリカの奥さんがその子を引き取りにきます。それを知った蝶々さんは、子供を残して最後自害してしまうのです。
 
2011年12月3日合唱団コール・リバティストで、中田喜直作曲、混声合唱のための組曲「海の構図」より3番「かもめの歌」を新しく練習し始めました。
 
マエストロは、この作品は「蝶々夫人」の中で、「結婚式のために芸者さんたちが山に登っていく場面の合唱曲に似ている」とおっしゃいます。もしかしたら、海の雰囲気がそう感じさせるのかもしれませんね。
 
「かもめの歌」は「かもめ」という言葉が何度も繰り返し出てきます。
「かもめ」と歌うところ、遠方を見るようなイメージで、穏やかなクレッシェンドをかけて歌うと良いそうです。そうするとまるで、蝶々さんがピンカートンを待ちわびて、山の上の家から海を見ていたような雰囲気がでてきます。
 
作曲家にとって、過去の作品のイメージが被ってしまうというのはよくあることのようです。
 
例えば、有名なブラームスの交響曲第一番の第4楽章は、尊敬するベートーヴェンの「第九」が頭から離れなくてどうしようもないことがすぐに分かります。
ベートーヴェンを意識するあまり、苦しみぬいた末、着想から完成まで21年を要してしまいまいました。
 
そこまで難産でなくとも、過去の偉大な作品は、作曲家にとって大変なプレッシャーのようです。
 
この日の稽古では、他に中田喜直の「都会」全曲と、ブストの「O magnum mysterium」、「Pater noster」、女声のためのアカペラ作品「アレルヤ」「Salve regina」などを練習しました。
 
「かもめの歌」、音を安定させて、ぜひ美しいハーモニーを堪能したいですね。

Comment(0)