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歌が上手でなくても合唱で人を感動させる理由

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同僚が合唱をやっているなんて知らなかったあなた。ある日突然、合唱団定期演奏会の招待状が手渡されます。
会社ではほとんど目立たず大人しい同僚が、実は合唱をやっていたのです。チラシを見ると入場料がなんと3000円もする。
 
「えっ・・・?あの歌でお金とるの?」
 
何度か職場のつきあいでカラオケに行ったことがあったのですが、お世辞にも上手とはいえず、音符も読めない他の同僚の方がよっぽど上手。
 
興味もあって、演奏会当日会場に足を運んでみることにしました。
ホールのロビーにはバーもあり、客は開演前にワインを飲んで談笑している。
都内の一流クラッシックホールでした。
 
合唱団は大人数と思いきや、以外に少なく30人ほど。
これでは、あの「あんまり上手でない歌」が目立つなあ・・・と心配していたのですが、余計な心配に終わりました。
 
最初の第一声から、豊かな色彩がホール一杯に豊かに響き渡り、聴衆の一人であるあなたたは不覚にも感動してしまいます。
 
演奏が終わると、ロビーに出ていた同僚に駆け寄り「ありがとう!今日は感動した!」と思わず手を握りしめました。
 
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「合唱をやっている人は歌がめちゃくちゃ上手」と思っている人は多いかもしれませんが、実は、そうでないことも多いのです。
 
私の知っているある合唱団でも、ソロを決めるために一人ずつオーディションをしたことがあるのですが、全員が「えっ?」と思うほど「いつもより上手でなくて」驚きました。
皆で歌うと本当に上手なのに。そんじょそこらのプロのソリストより聴衆を感動させてしまうのに。一体なぜなのか?
 
それは、ハモリにあるのです。
 
ハモリは「ハーモニーすること」。
彼らは、人の声を聴いて声を合わせることが得意なのです。
 
それじゃあ、一人一人がオペラのソリストを集めて合唱すれば、もっとすごい演奏になるんじゃない?と思うかもしれません。
これが意外に違うのです。
ソリストというのは、自分の個性や、「私こんなに出来るのよ」というところを見せる・・・「見せる」要素も必要です。
そういう人たちは、人の声を聞きながら自分を溶け込ませることがあまり上手ではありません。皆がそれぞれ好き勝手に歌ってはバラバラが目立ち、一糸乱れないようなハーモニーが出来ないのです。
だから、ソリストを目指す人は「合唱をやりたがらない」のです。もしソリストが合唱をする場合は華やかな声ではなく、わざと溶け込む声に調整して歌っているんですよ。
 
もちろん、合唱をやっている人が歌が下手というわけではありませんし、下手のままでいいわけもありません。皆さんボイストレーニングを行ってちゃんと上達しています。
 
でも、ソロを一人で歌い人を引っ張る能力と、人の声をよく聴いてハモる能力はまた別なところにあるものなのです。

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