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100回練習すれば上手くなるって本当?

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「どんな難しいところでも1日100回弾けば弾けるようになるんだよ!毎日100回やったか譜面に書くように!」
そうおっしゃるピアノの先生。よくいらっしゃいます。でも本当に100回でできるようになるのでしょうか。
 
合唱団でも、コンクール前は同じところをこれでもかこれでもか練習する指揮者もいて、ある団員が数えてたら100回やってたなんて話しも聞くことがあり恐れ入ってしまうのです。
そして「今日は何回突破か?」なんて賭け始める人たちもいたりして。
 
音楽は・・・特に合唱は、楽しい気持ちがなくなってくると、歌えなくなってくるんですよね。ピアノをやってたからわかるんだけど、歌って本当に正直。デリケートなんです。
ピアノは楽器というモノを通すけど、歌は何にも通してない。体の一部からそのまんま出てくる。人の気持ちがダイレクトに音になる。
声を聴けばすぐに「今日はお仕事おつかれさま」と言ってあげたくなるのです。
 
何度やらされても歌えない悔しさ、情けなさ、集中力も落ちてきて、疲労してくるからさらに歌えない。やればやるほど悪くなるという悪循環に陥ってしまう。
そうなると、指揮者と合唱団との関係もギクシャクしてしまいがちです。
 
そんな私は、合唱の稽古では「3回まで」、でも、どうしてもというときはおまけで「プラス1回」と決めています。
ごくたまに、何が何でも教えてあげたいとき5回目をやることがあるのですが、そういうときは相当に気を遣います。
 
「うん、私は満足しているんだけど、ごめん、あともう一回お願い!ちょっとこうするとお客さんが喜んでくれるよ」
そんなメッセージを伝えるようにしています。
 
通常の練習では、基本的に三回やってできなければ「まだ力が不足しているんだな」と思い、次回の稽古に回すようにします。音楽なんて、やればやるほどしなくてはいけないことが出てきてキリがないものです。
 
ただ、講演形式のようなスタイルのときは、どうしても1回の稽古で仕上げなくてはならないので、こういうときは三回やってできなければ、まず違うパートを歌わせて、時間をおいて他パートと合わせるときに、彼らに「気がつかれないように」、再度数回やってもらいます。
知らないうちに回数を重ねているというわけです。
 
私はこれを「そらす技術」と言っています。
 
あるパートを集中してしごいてしまうと、他パートと自分たちを比較してしまい、そのパート全体のモチベーションが落ちることがあるので気をつけなくてはいけません。
 
しかし、大抵は三回やれば大丈夫。
あらかじめ歌ってもらう団体の大体のレベルを把握しておき、三回やればできそうな作品を用意しているからです。
本当にいつも驚いているのですが、皆さん初めてなんて言いながら音感がすごくいいのですよね。
 
もし出来なければ、作品の選び方が間違っているか、指導者の気合がまるで足りないかどちらかだと思っています。
 
歌は、合唱は、楽しくやれば上手くなるんだと信じています。

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