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ライフワークとしての学びを考えます。

ウチの子、才能ありますか?

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才能があるかどうか。
 
こればかりは、実はよく分からない場合が多い。
 
よく「才能って絶対音感があることなのでしょうか?」と聞かれる。
しかし、絶対音感とは後天的なもの。小さい頃から一日何時間もピアノを弾いてれば、自然と覚えてしまう。あるとなかなか便利だが、これは才能とはいえない。
 
子供なのにものすごく指が動き、難曲を達者に弾きこなす。先生方から「あの子は才能がある」と言われる。
外国のコンクールでは、わずか10代半ばで大人と対等に、いや、大人を押しのけて優勝、あるいは上位入賞したりする子が本当によくいる。
 
もちろん、一部の人は世界的に活躍している人もいるが、ほとんどは数年すると名前さえ聞かなくなってしまうことも多いのが現実。
10で神童20過ぎればただの人・・・・とはよく言われるけれど、そういう例を数多くみてきた。
 
楽器はお金がかかる。高いレッスン料、学費、留学、コンクール、演奏会・・・ある程度の投資をしてもらえるような家に生まれることも、その人の持つ運。
 
でも、それでも音楽家としてやっていけるかどうかは別。
 
今や世界のトップとして活躍している音楽家でも、「自分には才能があるのだろうか」と悩み苦しんでいる。
 
何年も仕事をご一緒した指揮者のY先生は、若い頃一流のオーケストラと合唱付きオーケストラ曲の初演を数多く行い、音楽の歴史に残るような人で、私からみたら才能がないわけがない。
 
「自分はお金がなくて短大しか出てないの。田舎者だし才能なんかあるわけない。でも、音楽が好きで好きで。ベルリオーズの幻想交響曲を聴いて音楽家になろうと思った。母親は反対したよ。でも田舎の土地とかなんとか全部兄貴にやるからって、飛び出した。高いレッスン料出すために一日うどん玉一個でひもじい思いをしてもやりたかった。
初めて指揮台にたっても、音大の指揮科のように実践していないから何もわからない。もう一回一回が死に物狂いよ。何度も壁にぶちあたってもうやめようと思った。オーケストラの練習後ショックで、線路沿いをぐるぐる歩いて家に帰れなかったこともある。でもね・・・やっているうちに出来てしまうものなんだよね。若い頃の苦労は買ってでもしろ、ってよく言われるけど本当だね。」
 
才能があろうがなかろうが、音楽をやりたい。
このエネルギーがどこまで続くか。
これこそが才能ではないか、とさえ思える。
 

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