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ライフワークとしての音楽を考えていきます

素晴らしい組織には優秀な監督以上にデキるキャプテンが必要だ

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オーケストラの演奏会が始まる前、立ち上がって全員がピッチを合わせるのを指示したり、演奏が終了して指揮者や協奏曲のソリストと最初に握手する人いますよね。オーケストラの一番前で指揮者のすぐ左側にいるヴァイオリニストをコンサート・マスター(コン・マス)といいます。
オーケストラの演奏家を代表する立場で、オーケストラを仕切るキャプテンのような役割の人です。
 
他の楽器ではなくヴァイオリン。それも第一ヴァイオリンと決まっています。それはオーケストラの約50人はヴァイオリン奏者であるし、作品の主な旋律は第一ヴァイオリンが受け持つからでなんですね。
 
日本人ヴァイオリニスト樫本大進さんが、昨年末、名門ベルリン・フィルの名誉あるコンサート・マスターの地位に就任しました。安永徹さんに続いて日本人で二人目となります。
 
ベルリン・フィルともなると試用期間を2年間設けて、本格的に採用するかどうか品定めをします。
しかし、樫本さんは異例の早さ、1年3ヶ月という短い期間での決定となりました。それほど素晴らしい逸材だったということなのですが、それでも1年以上かけるわけですね。
 
ソリストとしても十分通用するような100人以上の集団のキャプテンになるのですから実力は必要ですが、それ以上に大事なのはリーダーシップです。
 
ウィーン・フィルが教会で演奏したとき、あまりの残響にカラヤンがどこを振っていいのか分からなくなり、オーケストラが乱れそうになったことがあったそうです。しかしそのときサッと立ち上がって大きく弓を使いながら全体に指示したのが、コンサート・マスターでした。
 
指揮者が振り間違えた場合(音が出ないから分からないが結構よくある)にオーケストラ・プレイヤーたちが見るのは、コンサート・マスターの弓なのです。
 
指揮者も頼りにしていて、複雑な作品を振っていて分からなくなった場合、演奏中でもコンサート・マスターに小声で「今、どこ?」と聞いたりすることもあるそうです。
また、指揮者に対して「ここはもう少し分かりやすく振ってください」とか注文をつける立場でもあります。
 
また、コンサート・マスターは他の団員より演奏の動きが大きいことが多いのですが、理由があり、あえて大きなアクションでオーケストラ全体の呼吸を合わせているのです。
 
一過言ある芸術家集団が、自分たちより実力のないコンサート・マスターに従うわけがありません。
技術や音楽性はもとより、知力や判断力、そして指揮者や楽団員に対する目配り気配り、そして全体を仕切るリーダーシップがコンサートマスターには必要なのですね。
 
素晴らしいオーケストラには名コンサート・マスターありきなのです。

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