3Dが発達するとこれからの職人はどうなるのか? 第20回朝カフェ次世代研究会「ものづくりと3D」 #asacafestudy
2011年5月25日午前6時30分より、第20回「朝カフェ次世代研究会」に行ってきました。
この日はソリッドワークス・ジャパンの伊藤宏隆さんの講演で「ものづくりと3D」。
3D CG/CADとは立体を平面上に投影するための方法で、3D立体視は、平面上の画像を両目で立体的に認識させるための技術だそうです。
伊藤さんは、3D技術の様々な例を紹介してくださいます。
3Dにより夢のようなことが可能になっていることに驚きを覚えました。
例えば、オープンソースで夢の車を実際に作ってしまう。
シャム双生児のCTデータをもとに造形し、手術リハーサルを行う。
このとき私の脳裏をよぎっていたのは、スタインウェイやストラディバリウスなど、楽器の名器を3Dで作ることは可能なのか、ということでした。
楽器そのものに対する科学的な研究や技術が進んでいる現代の弦楽器製作は、ストラディバリウスの時代、18世紀初頭より優れているはずなのに、なぜかあの音が出ない。
そして、ホロビッツの弾いていた時代の素晴らしいスタインウェイの音は蘇るのか?
音響なども完全制御してしまう3Dプリント技術、しかも年数を重ねた音まで再現できるのであれば、もしかしたら・・・・。
想像するだけでドキドキしてしまいました。
ピアノ楽器業界も、伝統技術を継承する腕のある職人さんが本場ヨーロッパでも減ってきているのが現実です。
楽器は、最終的に「どんな音がするか」なのですが、それは人間の耳、感性しか判断できないことだと思っています。どんなに3D技術が進んだとしても、音の分かる技術者は必要なのではないでしょうか。
「最新鋭の工作機械を入れても、最初のときよりパフォーマンスはどんどん下がっていき、誤差が増えてくる。職人技はそこをチューニングして良くしていく。モノを作るところに発揮していた調整能力を、最新のシステムをよりよく使いこなして調整していく方に発揮していくのです。」
と伊藤さんはおっしゃいます。
そうなると、どんな分野の3Dでも、やはり職人の感覚は必要だということなのですね。
伊藤さんは、「ものづくりを3Dで応援したい」という志を持っています。
これからの日本のものづくりが、今までよりさらに世界に必要とされるようになっていくといいですね。