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震災後演奏を行ったマエストロ ズービン・メータ

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外国の演奏家たちが、日本での公演を次々とキャンセルする中、こんな超一流演奏家もいます。
今日は、インド出身の指揮者、ズービン・メータをご紹介しましょう。
 
メータはフィレンツェ歌劇場日本公演のため、あの3月11日にはすでに来日していたのですが、残念ながら、公演半ばでの中止となりました。
今回は、原子力発電所の事故と、電力事情の悪化などもあり、フィレンツェ市長から帰国命令がでてしまったためです。
 
ただし、14日の東京公演初日だけは、混乱を避けて帰国してしまったオペラ歌手もいる中、演奏会を行いました。
 
メータは、米ロサンゼルス地震や湾岸戦争のときも指揮台に立ってきた経験があります。
 
2011年3月25日の日経新聞に、メータの談話が掲載されていました。

     ・・・・・(以下引用)・・・・・
 
危機的状況に陥った人々の前でも、音楽は力を発揮できると思う。
(中略)
91年に湾岸戦争が起きたときニューヨーク・フィルとの日程を全てキャンセルして現地に飛び、イスラエル・フィルと連日、無料演奏会を開いて回った。
今の東京より電力事情が悪い中で、昼間なら照明なしで演奏できると判断し、リハーサルなしで多くの交響曲を日替わりで奏で人々を鼓舞した。
(中略)
演奏者も聴衆も全員一丸となり、精神を飛翔させることができたのは得難い経験だった。今の日本にも音楽の力で人々を励ます場面が絶対に訪れると信じている。
 
     ・・・・・(以上引用)・・・・・

メータは、歌劇場の楽員やスタッフなどが、地震や原発などの不安や不満を告げてくるのに対して、一人一人に耳を傾けて、彼らの心を落ち着かせ、集団を統率していたそうです。
 
指揮者は、指揮棒を降って音楽をするだけではなく、全員の気持ちを一つにまとめあげる力量も必要なのですね。
 
今、日本でのクラッシック演奏会は中止が続いていますが、このような熱い情熱と志をもった音楽家もいるのです。

Comment(8)

コメント

メータさんは、4月10日にN響と第九の特別公演を行うことになりましたね。N響が予定していた「ローエングリン」が中止になったこともありますが、本当に素晴しいと思います。こちらは会社のオケの5月の定演が中止となってしまい残念な思いをしておりますが、「音楽の役目はいずれやってくる」にお書きになっていたことと同じ思いで力を蓄えておきたいと思っております。

IBM dW Japan編集長様
今この時こそ、まさに「第九」を演奏して、ベートーヴェンの真のメッセージを伝え、皆に勇気を与えいただきたいですね。この選曲はメータさんの強い意志を感じます。
オケの演奏会中止は残念ですね・・・。でもまた復活したときは、そこまで蓄え、こらえてきた全員の熱いエネルギーが爆発するような素晴らしい演奏になると思います。頑張ってください!!

e-あさい

永井さん、いつもブログありがとうこざいます。
7、8年前でしょうか、イラクで日本の外交官のクルマが銃撃されて命を落としたときにも、偶然日本にいて東京文化会館の指揮台に立ったメータさんは、冒頭に黙とうすることを提案し、祈りを捧げました。その夜も素晴らしい演奏でした。
10日のN響以外にも、きょう2日にも上野で読響を尾高さんが指揮します。やはり、海外のアーティストや指揮者が帰国してしまい、代役を買って出たチャリティコンサートです。チケットがまだ買えたので出掛けてきます。

e-あさいさま
こちらこそ有り難うございます。
祖国ポーランドが、ロシアによるワルシャワ侵攻にあったとき、外国にいたショパンがどんな気持ちであったか。狂気ギリギリのところで作曲された作品が、今真実となって響いています。
メータさんの演奏会は、聴衆と演奏者会場全体で、音楽の存在意味とは何か、という一番深いところでの問いが明らかになるような一座建立の場ではなかったか、と想像します。
尾高さんは、指揮者としても教育者としても素晴らしい方です。きっと感動的な演奏会になったことと思います。

3月18日のメータのコンサートへ行く予定がキャンセルになり残念に思っておりましたが、
再来日のコンサート嬉しいです。
素晴らしいコンサートになることでしょう。

BOBさま
ヴェルディのレクイエムは聴きたかったですね。メータさんの再来日、素晴らしいですね。尊敬します。

好々爺

昨日、ズービン メーター指揮 N響の第九を聴きました。黙祷の後にG線上のアリアを捧げ、悼む思いからシンとした一瞬を経て第一楽章が始まりました。
メーターが大きく口を動かして歌いながら合唱団を指揮する姿を追いながら思わず涙が出てしまいました。普段と違う心理状態での鑑賞であったのでしょうが、こんなに感動した音楽会は初めてでした。思わずスタンディングオーベィションしていました。

好々爺 さま
メータさんの演奏会に行かれたのですね。
「苦悩ををつきぬけ歓喜に至る」というベートーヴェンの真のメッセージが伝わる素晴らしい場であったことと思います。

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