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合唱への、そして音楽への問い #asacafestudy

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4月27日の第18回朝カフェ次世代研究会で合唱チームビルディングを行ってまいりました。
 
合唱したあとというのは、不思議なもので、皆がなぜか仲良くなる。
会場の空気感が温まり、質疑応答が活発でした。
声を寄り添わせることで、また、寄り添わせようと意識したことで、壁がなくなったのだろう、と感じました。
 
質問力が高く物事の真理を突くようなものばかりでした。
こちらも真剣勝負です。
 
たくさんの質問の中から何点かピックアップしてお届けします。
 
問い:「演奏しているときは何を考えているのか?」
 
これはいつも自分で意識したことがなかったので、ハタと胸を打たれました。
 
クラッシック音楽マンガでよくある、演奏中のピアニストの吹き出しに書いてあるように「この曲は私にこそふさわしい!」とか「私の才能をこのピアノで聴かせてみせるわ!」とか「ショパンの苦しみや悲しみが聴こえてる・・・」などは自分の場合ほとんどないように思えます。
 
何も考えてないような考えているような。そんな感覚です。
やっと出た答えが「ことばのない世界」。
 
もう一つ言うと、「良いとき」というのがごく稀にあり、そのときはものすごく静かに、演奏している自分をもう一人の自分が見ている。そういう状況になりました。生きていて今まで2回しかありませんでした。
 
問い:「他パートにつられてしまうのですがどうしたらいいのか?」
 
これはなかなか難問です。
というのは、長年やっている合唱人(がっしょうじん)でもつられてしまったり、音をロストしてしまったりすることはよくあることだからです。
上手になれば、演奏曲のレベルも上がり、それにあわせて音をとることも難しくなっていきます。音を完璧にとり続けることは合唱人の一生の課題だと思います。
 
ただ、コツをつかむと、それほど苦労しなくはなります。
合唱は複数人でするもの。必ず誰かがとれています。自分が「落ちたな」と思ったら、ムリをせずとれている人の声をよく聴いて頼って歌うのです。
助け合って寄り添っていく、集団組織だからこそできることですね。
パートの中には経験豊かな人がいるはずで、その人が新しい人を育てていくという文化も持っています。始めのうちは教えててもらったり助けてもらって育った合唱人は、次の後輩たちにそれを伝えていくという伝統があるのです。
 
他パートの音が聴こえてしまうことは耳がよい証拠。聴こえないほうが問題です。そしてその音を受け入れることです。受け入れると違和感を感じますが、このバランス感覚を磨いていくことこそが合唱が上手くなる近道であり、音楽のしびれはここからきていると思います。
 
しかし、プレゼンの冒頭で聴いてもらったキングズ・シンガーズは、全てのパートを一人ずつが歌っています。彼らがいかに凄いか、やってみるとよく分かりますね。
 
問い:「音痴はどうしたらいいのか?」
 
私は今までたくさんの合唱人を見てきましたが、一人も音痴はいなかったと思います。本当の音痴とは「この音を出してごらん」と音を示してもまったく違う音を出す人のこと。要は耳の問題ということです。たいていの人は同じ音を出すことが出来る。この日の朝カフェでも全員がそうでした。音痴ではありません。
 
歌っているときに音が違うのは、はずしているだけです。有名オペラ歌手でも完璧ではなく、いつも高音がぶら下がったようにピッチが下がっている人はいます。
だから皆さんが外すのは当たり前。
声帯の周囲の筋肉を鍛えることで、音が不安定になることはかなり改善されますし、ぶら下がったようになるのは発声のポジションの問題です。
ボイストレーニングを行うことで素晴らしく変わります。
この方法は、かなり効果があるのですが、説明に時間がかかるので、質疑応答の中ではお話しできませんでした。
また別の機会にお話しできればと思います。
 
良い質問を受けることで、自分も意識していないような新しい気づきを促されるのですね。
私にとっても多くの学びをいただいた時間でした。

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