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ヨーロッパの言葉はクロール 日本語は平泳ぎ

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ヨーロッパの人は日本語の高低が分かりにくいそうです。
日本語は、関西弁や東北弁など、高低で言葉のニュアンスが違ってきますね。
 
逆に、日本人はヨーロッパの言葉の強弱が分かりにくいと言います。
 
2011年1月8日、合唱団コール・リバティストでマエストロをお迎えしての練習がありました。
 
この日の練習曲、ウイリアム・バード作曲の「Ave verum corpus」はラテン語の曲です。
 
ラテン語は、言葉に高低をつけず、アクセントのある母音をのばして発音します。
曲の中では、アクセントのある音に向かって音を強くしていき、アクセントの音を強く発音したら、また弱くしていくのです。
これで、メロディの小さな山を作ります。
小さな山を何度か作りながら、曲全体に対して大きな山を作っていくように構成して演奏します。
 
当時ルネサンス時代の作曲家たちは、ラテン語の歌詞を主体に考え、歌詞のアクセントに合わせて音をつけているので、アクセントの通り演奏すれば形になるように出来ています。
 
例えば、「miserere」(ミゼレーレ)は後ろから二つ目の母音にアクセントがきます。
ミゼレ~と「エ」の母音に向かって強くしていき、終わりの「レ」に向かってまた弱くしていくという感じです。
 
だから、言葉のアクセントが分からないと演奏できないのですよね。
 
しかし、譜面の中に強弱の指示は書かれていません。
なぜなら、ヨーロッパの人は、ごく自然に当たり前のように出来るので書かれていないのです。
 
外国の曲を日本人が演奏するときのハンディですね。
 
もう一つ日本人が苦手なのが母音の深さです。
 
これは、生まれたときから浅い母音で話し続けている日本人がヨーロッパの曲を歌うときに苦労するところです。
やっぱりネイティブにはかないません。
特に「u」「e」「i」は浅い発音になってしまいます。

だから、合唱団ではちょっとした工夫をしています。
例えば「cujus」なら、読みは「クーユス」のところを「こ~よs」と発音するのです。
そうすると、自然に「cujos」に聴こえるのですよね。
 
普段いかに浅い母音を使っているかが分かりますね。
泳ぎで言うと平泳ぎ。
ヨーロッパはクロールやバタフライ。縦の響きです。
 
この日は他に、林光編曲、「鉾をおさめて」「この道」、高田三郎作曲「水のいのち」より「海」、ビクトリアの「アヴェマリア」を歌いました。
 
ただし日本語の歌といっても、あまり浅くなりすぎないようにしなければなりません。響きが薄くなって声が通らないからです。歌はすべて縦の響きですね。

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