音楽の誕生と発展
音楽とは、いつどうやって誕生したのでしょうか。
現代の世の中で演奏されているように、豊かで込み入ったハーモニーが初めからあったわけではないと思います。
数万年前、人類が洞窟などに住んでいた時代。
おめでたいときや豊作のとき、嬉しくて声をあげてしまい、思わず出てしまったメロディ。
不安なとき神に救いを求めたり、敬虔で厳かな気持ちになったときに神を讃えるメロディもあったでしょう。
立派な楽器があるはずもなく、木の丸太を叩いたりしていたかもしれません。
そんなところから生まれたのではないかと想像します。
洞窟の中は残響が多いところ。
お風呂の中で歌うときの気持ちを思い浮かべてみてください。
一人の人が歌い始め、もう一人の人が、その音にあわせて歌い始める。
あるところで、自然に他の音を合わせて唱和すると気持ち良く響くところがあることに気がつき始めるのです。
この気持ちよい音とは「倍音」です。
例えば、大きなお寺などで、複数人のお坊さんがお経を唱えているとき。
そのとき、全然違う音の音程差でそのまま平行移動しながら唱えていることがあります。
例えば、「ド」の音で一人が唱えているのであれば、もう一人は「ソ」であったりします。
意識しているかどうか分かりませんが、これがまさに倍音なのです。
人間は、この音をあわせると、長い間唱えていても疲れず「心地よい」というのを感じることができるのですね。
それは大昔の人類であっても変わりないように思うのです。
現代の音楽の基礎はヨーロッパで発達しました。
ヨーロッパでは、キリスト教が誕生し、教会の音楽を中心に音楽文化が発展しています。
ホールのような残響が多いところでは、実際鳴っている音のほかに「倍音」がかすかに聴こえることもあります。
残響の多い教会の中では、さらに豊かな倍音が鳴り響くわけですから、他の地域よりも音楽が発展しやすい環境であったのではないでしょうか。
倍音の理屈については、また別の機会に書きたいと思います。
しかし、倍音など理屈を知らなくても、人間は自然に心地良い音を聴き分けることが出来ていたわけですね。