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ベルリン・フィルの演奏が華やかに聴こえるカラヤンの仕掛け

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合唱でアカペラの曲を歌うとき、最初の音はどこからとるのでしょうか。
 
ピアノ伴奏付きの曲で、冒頭がアカペラの場合はピアノから音をもらいますが、アカペラ曲は「ピッチパイプ」という笛のようなものから音をとります。
 
一般的なピッチパイプは440hz(ヘルツ)。
ピアノの調律はラの音を442hzで調律しています。
数字が増えるとピッチは高くなりますから、普段ピアノの音で練習している場合、ピッチパイプは少し低く感じてしまうのです。
調律についてはまた別の機会に書くことにしたいと思いますが、この440hzか442hzか、という少しの違いでも感じる世界が変わってしまうほど音楽とは微妙なものです。
 
2010/08/28、私が指導を務める合唱団コール・リバティストで、マエストロをお招きしての練習を行いました。
 
マエストロは、ピッチパイプを使用した演奏会で違和感を覚えたことがある、というお話をしてくださいました。
「でも、アカペラの演奏では、ピッチパイプから音をとらないところはないからね。
今使っているピアノが442hzだから、440hzだとちょっ低いかもしれないね。
ヨーロッパのウィーン・フィルは445hzで演奏する。そうすると明るく華やかな音になる。逆にアメリカは440hzで低い。
だからヨーロッパでは歌い手が大変。下手すると喉を壊してまう。」
 
現在の国際標準音高は440hzとされています。
しかし、ヨーロッパのオーケストラ、特にウィーン・フィルやベルリン・フィルはピッチを高くとることで有名です。
 
ベルリン・フィルのカラヤンは実際の演奏では446hz以上で演奏しており、録音を聴くとさらにピッチが上がって聴こえることもあるほどです。
カラヤンの演奏が輝かしくゴージャスに聴こえる一つの要素が、このピッチの高さなのです。ベルリン・フィルは現在でも445hzくらいの高いピッチで演奏しています。
 
聴衆は、一般的にピッチの高い演奏を好む傾向にあります。演奏技術とはまた違ったところの仕掛け一つで音楽の表現まで変わってしまうことをカラヤンはよくわかっていたのでしょう。また、カラヤンが表現しようとしていた美しく洗練された音を追求するあまり、さらにピッチが上がってしまったのかもしれません。音楽が派手に聴こえる一方、ピッチが高いということは、ヨーロッパで歌う声楽家の技術はさらに困難を極めることになります。ただ、個人的には曲によってはもう少し落ち着きのある重厚な演奏を聴きたいと思うこともありますね。

合唱では、舞台で使えるピッチパイプは440hz。基準が440hzなので仕方ないのですが、442hzのピッチパイプもあると良いかもしれませんね。

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