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APPS JAPAN 2023 講演:上村章文氏「生成系AI研究会がめざすもの」

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6/14(水)~6/16(金)は、幕張メッセにて「Interop Tokyo 2030」が開催されています。同時開催の「APPS JAPAN 2023」(アプリジャパン2023)にて、生成系AI研究会(GAIS)の上村章文代表が「生成系AI研究会がめざすもの」のタイトルで講演を行いました。

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■ 知的生産労働のAI化:大きな社会的変革への道
上村代表は、AIの進化と生成系AIの役割について講演しました。上村氏はAIが人間のように言葉でコミュニケーションを行う能力を獲得することで、人類の進化と文明の築き方を革新的に変えられると指摘しています。これまでのAIの進化が主に人間や他の動物の持つ認識機能に焦点を当てていたと述べる一方、生成系AIが自然言語を処理する能力を持つことで、人間だけが持っていたコミュニケーションの能力をAIが担う可能性があると説明しました。また、この進化を「生成系AIの革命」と称し、過去の社会的な革命と比較しています。物作りが機械化された産業革命、そして物作りがロボット化されたデジタル革命と並び、次には知的生産労働がAIによって機械化される時代が到来すると述べています。したがって、AIワーカーがオフィスの中心となり、これまで人間だけができるとされていた作業をAIが実行することで、大きな社会的変革がもたらされると考えています。
 ChatGPTという進化した対話型言語生成モデルが注目され、自然言語を活用し、AIを誰でも使える形に変化させた。これまでは主に技術者がAIを使用していたが、現在ではあらゆる分野で誰でもAIを使えるようになっている。さらに、アプリケーションの開発や、特別な能力なしにAIによるコンテンツ作成も可能になり、誰でもクリエーターになれる時代が訪れた。ChatGPTのAPIが公開され、既存のシステムと連携することで多種多様なアプリケーション開発が可能となり、これらの革新的な変化により、ユーザーが増えることでAIの学習が進み、AIの進化がさらに加速する無限のループが形成されていると上村代表は述べています。

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■ AIと労働力:産業革命との比較と日本のチャンス
 上村代表は、産業革命やデジタル革命がそれぞれ補助労働者やPC労働者を生み出し、その仕事を奪ったように、AIの進化によりオフィスワーカーの仕事も奪われる可能性があると指摘します。特に文書作成やコンテンツ作成の分野では、AIの影響が大きいとの見解を示しています。しかし、これは社会的にマイナス面だけではなく、労働力が減少している日本にとってはむしろチャンスとなるかもしれません。そのため、この状況をどう活用するかが重要と語っています。特に、AI対応の人材育成により、日本を再定義できる、一方、AIの進化によりオフィスワーカーの大量解雇や給与水準の下落、AI関連の人材や理系人材の需要増大など、様々な社会的影響が予想される。この変化に対応するため、AI人材や理系人材の育成が急務であると認識していると述べ、対策として、AI関連の人材育成、理系の学部を増やす、職業高校を増やす、リスキリング、AIのスタートアップ支援などが挙げらる。これらを実施することにより、日本は生成型AIの革命のチャンスを活かすことができると述べています。
■ AIの課題:プライバシー、知的財産、ガイドライン
 AIにはプライバシーの保護、企業秘密の管理、著作権の問題、学習におけるバイアスなど、解決すべき様々な課題が存在し、特にGPT-4は2021年9月までのデータしか学習していないため、新たな情報に対応する能力が限られていると指摘されている。しかし、それをカバーするために検索エンジンのbingが利用可能になった。また、AIの発展は止まらず、新たな生成型AIが出現している。例えば、GoogleのBardが日本語対応となり、Microsoftが新たにAIチャット機能をWindows 11に組み込んでくる。さらには、プロンプトを入力せずともAIが活動を行う完全自律型AIが開発されていることを述べています。
 AI技術、特に生成型AIの導入は、地方公共団体や文書作成の多い組織にとって大きな意義を持つと考えられる。しかし、情報の正確性や量、品質などに対する懸念や、誤った情報の拡散リスクも存在し、技術者がいない中小企業などではこれらの問題をどのように対応するかが課題となっている。このような背景から、AIの導入と運用に関するガイドラインの作成が必要とされ、研究者による取り組みが行われている。例えば、神奈川県では、ChatGPTの全職員向けの導入が本格化しているが、このような導入はまだ少数で、一部の職員のみがAIを使っている組織が多いです。一方、AIの使用を禁止している団体も多く、これはAIの利用に伴うリスクを避けるための措置と考えられます。しかし、AIのメリットを享受するためには、リスク回避策を行った上で使用禁止を解除し、使用可能な環境を整備することが求められる。また、Windows 11やMicrosoft Office製品に標準搭載されるAI技術の普及に伴い、AIの使用を避けることが困難になると予測、このため、ガイドラインの策定や導入後の対策が急務となっていると述べています。
■ 生成系AI研究会の目指す方向と具体的な活動
 上村代表は、我々の立ち上げた生成型AI研究会は、企業の生産性向上や新たな審査業の創出を目指している。これらの目指す方向性を達成するため、AIに関連する情報の共有や交換を行うコミュニティの構築と、経営改革に対応可能な人材の育成を主な課題として取り組んでいる。これらの取り組みは、社会的な変化や経営改革への対応、AIと人間の共生を推進することを目指していると述べ、この研究会では、情報の収集とディスカッションを行うために、フェイスブックのグループを立ち上げ、1300人以上のメンバーを集め、定期的なオンライン勉強会を開催していること、そしてガイドラインの設定やビジネスモデルの策定などの準備を進めつつ、一般社団法人としての法人組織設立にも動いていることを発表しました。
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 研究会の活動は単発ではなく、継続的な事業展開を意識していて、そのため、人材育成事業や課題解決を目指した研究開発の推進、ワーキンググループの組織化などを行い、定期的な報告会の開催も計画している。また、自治体や行政とも連携して、生成型AIの導入を推進することや、AIを含めたスタートアップの支援イベントの開催も予定していると述べました。
*上記の記事は、リハーサルを録音し、OpenAIが提供するWisperにて文書起こしを行い、ChatGPT-4にて、文書のまとめを行ったものを修正して作成しました。
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