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HPEは次世代ハイパーコンバージドサーバーでビジネスを一気に拡大できるのか!?

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 6月15日に、HPEが買収していたハイパーコンバージド製品であるSimpliVityのサーバー「HPE SimpliVity 380」を発表した。

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 SimpliVityは、Nutanixと並ぶハイパーコンバージドサーバー製品ベンダーで、昨年HPEに買収された。買収以前はDellなどHPEのサーバーハードウェア以外とも組み合わせた製品があったが、今はどうやらほぼHPE専用のハイパーコンバージドサーバー製品となったようだ。また買収以前には、日本にSimpliVityの日本法人がなかったので、今回の製品発表が日本での最初のお披露目ということになる。

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 HPEは分社後、ソフトウェア関連の製品をどんどん手放しシンプル化して新たなスタートを切ったところだ。切り捨てて単にスリム化したわけではなく、このように注力分野の買収は行い力を入れることになる。そんな中でSimpliVityは、まさにハードウェアの要素テクノロジーに集中するために買収したものだと、HPE データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括 統括本部長の本田氏は言う。

 そして今回の新製品を、HPEでは「ハイパーコンバージドの次世代型」に位置づけている。どこが次世代かと言えば、従来よりもより集約度を高めるための技術があること。集約して効率化するのと同時に、爆発的に増えるデータをきちんと保護するインフラになっていることが他のハイパーコンバージドサーバーと異なるところだと主張する。

 もう1つの強味はハードウェアとの密なる連携だと言うのはサーバー製品部の中井氏だ。MicrosoftやVMwareベースのハイパーコンバージドサーバーもこれまで通り提供はするが、「HPE SimpliVity 380」はHPEがハードウェアもソフトウェアも全てを1つのベンダーで提供するものになり、当然ながらサポートもワンストップで対応できるものになる。

 ハードとソフトを一緒に提供できることで「妥協のないインテリジェントなストレージ機能を入れられるのが今回の強化ポイントです」と中川氏。従来のハイパーコンバージドサーバーのストレージにも、重複排除や圧縮などの昨日はソフトウェアデファインドで組み込まれていた。とはいえ、それらの機能を実際につ花王とすると、リソースが十分でなく性能面の問題でなかなか使えなかったとのこと。SimpliVityは、それらの機能も妥協なく使える仕組みを提供していると主張する。

 そのためにSimpliVityでは、ソフトウェアデファインドだけでなく、特徴的なアクセラレータカードを搭載している。これにはFPGAFullsizeoutput 8733が搭載されていて、これを活用することで本体のCPUに負荷を与えずに重複排除などの処理が行える。なので標準で重複排除や圧縮機能の利用は、オンになっている。それでもCPU性能への影響はないのだと。そして圧縮してでデータ小さくなれば、データを移動させる負荷も下がり、CPUの処理はむしろ軽くなる。当然ながらデータサイズが小さいので、バックアップの処理も高速化できることに。「データを最小化することでさまざまなメリットがあります」と中川氏は言う。

 結果的に多くのハイパーコンバージドサーバー製品の最小構成が3ノードから始まるところ、SimpliVity 380は2ノードから利用できる。そしてユニークなところとしては、CPU性能だけを増やしたいときには、SimpliVityの入ったサーバーではなく、ディスクレスの普通のサーバーを増やしても使えることだ。データにアクセスするのはSimpliVityのサーバーだけなので。追加したディスクレスのサーバーにはSimpliVityのライセンス費用は発生しない。こういう柔軟な拡張性があるところは、ちょっと面白いかも。

 FPGAの活用で性能も高く、柔軟な構成ができるといったところは、ハードウェアとソフトウェアを一体化して提供できる強味だろう。そのあたりのことがきちんと市場に伝われば、日本において後発のハイパーコンバージドサーバーの市場でSimpliVityの存在感が示せるかもしれない。とはいえ、それでHPEのビジネスがすぐに大きく拡大するというものではないだろう。ハードウェアの中ではハイパーコンバージドは成長しているとはいえ、ハードウェアの切り口からIT投資をする動きは小さくなっているのが現状だ。このSimpliVityのハイパーコンバージドサーバーを使うといったい何ができるのか。そのソリューションをハードウェアと一体化してどこまで訴求できるのか。ものが良さそうなことは理解できる。その上で、HPEならではのソリューションを大きく期待したいところだ。

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