SAPはテクノロジー押しで来るよりも経営者目線で攻めてくるほうが手強そうだ
本日は、SAPジャパンの社長記者会見に参加。
SAPはグローバルでも日本でも業績は堅調なようだ。2015年上半期の数字は、前年同期比の売り上げがグローバルではクラウドが+92%、ソフトウェアが+6%、トータルで+9%、日本はクラウドは+152%、ソフトウェアが+35%、トータルでは+11%と好調。SAPジャパン 代表取締役社長の福田 譲氏は「上期の日本の結果は少しうまくいきすぎた面ある」と言う。
今日の発言で興味深かったのは、SAP HANAのインメモリによる高速化というブレークスルーが大きすぎたがために、「HANA、HANA」とちょっと言い過ぎたかもしれないという話。ただ速ければそれでいいのかというとそうではない。それによってどんなビジネス価値が生まれるのか、それを経営者目線で伝える必要があると。
ビジネス価値を提案するというのは、かつては本来SAPが得意とし、OracleやMicrsoftのようなテクノロジー系のベンダーはあまり得意ではなかったところだ。それがあまりにもとがった製品を手に入れて、ちょっとアピールの仕方、アプローチの仕方を間違えたところもあったと気づいたわけだ。
この「はき違い」を解消するために、SAPではかなり人材面に投資しているようだ。そのために、営業スタッフの育成を改めて行っている。今日の発表では新卒の営業職の育成に、グローバルレベルで取り組んでいることが伝えられた。じつはすでに営業として経験がある人や中途採用の営業担当に対しても、トレーニングを行い経営者目線でHANAでどんなイノベーションが起こせるのかが提案できる人材を育てるようだ。
さてライバルにとっては、SAPが技術押しで攻めて来るよりも、本来の強さの経営者目線で攻めてくるほうがはるかに手強いのではと思うところだ。