これから流行るAIや機械学習はどこに向かうのか
今年IT業界で流行るであろうキーワードに「AI(人工知能)」「機械学習」といったものがある。80年代後半から90年初頭にかけて流行ったAIと何が違うのか。まだ自分の中でもきれいに整理はできていないけど、メモ的にブログにしてみる。
当時との1つの大きな違いは処理できるデータ量の差がある。当時はほんの少しのデータしか扱えなかったがために、結局は実験室レベルというか研究レベルのAIで終わってしまった。いまは数年前からキーワードになっている「ビッグデータの時代」、桁違いの量のデータが扱えるようになった。これで、より知的な判断が可能になっている。
ところで、AIの話というか人工知能と言ってしまうと、どうしても鉄腕アトムのような「知的な人型ロボット」みたいなものを想像しがち。これは人間を模した存在だ。とはいえ、これから流行るAIや機械学習の世界は、必ずしも人間を模したものではない。最初から人間を超える世界を目指しているし、その実現こそがビジネスや生活の中ですぐに役に立つAIということになる。
この人間を超えるというところが、まさに人間を模倣するのとは違うところだ。いわゆるAIのシステムの後ろでは、莫大なデータを高度な統計的な処理などを使って的確に判断する、そんな世界がまさにそれだ。フロントエンドのところで自然言語処理が使えたりすると、「人智を超えたやりとり」ができる人工知能になるわけだ。ちなみに、生身の人間はビッグデータも使わないし頭の中で高度な統計処理も行わない。
もう1つAIを語る際に気をつけるべきなのは、人間の脳には右脳、左脳がありそのAIがどちらの方向性のものかということ。左脳の機能は論理的な事柄を、右脳の機能は感性、感覚を司る。おおざっぱに言えばニューロンコンピュータなど機械学習が得意とするのはどちらかと言えば右脳型、ビッグデータやら高度な処理的なものが入るものは左脳型と言える。まあ、機械学習を使った左脳型のAIもあるからややこしいけれど。
もう1つの今後のポイントは、別の記事でも少し触れたけれど、AIや機械学習というのは、実践しているベンダーや企業しか使えないキーワードだと言うこと。クラウドやビッグデータは「クラウド時代」「ビッグデータ時代」と言うような使い方ができる。「IoT時代」もぎりぎり使ってもおかしくないかもしれない。これらの場合は、自社の製品やサービスが直接的にクラウドやビッグデータに関わっていなくても、利用してもさほどおかしくないだろう。
ところが「AI時代」「機械学習時代」という言い方はちょっとおかしい。いや、かなりおかしい。自社の製品やサービスがAIでもなく機械学習も行っていないのに、時流にのってこれらのキーワードを使うのはおかしいのだ。たんなるアナリティクスはアナリティクスであり、それはコグニティブではないしAIでもない。「AI時代」「機械学習時代」というのがイベントタイトルやテーマなんかに入っていたら、そのイベントへの参加は要注意かも。
とにもかくにも、これから頻繁にAIや機械学習という言葉は、目にするようになる。2020年の東京五輪のころまでに、実践で活躍するAIや機械学習がどれくらい登場するのか。それに関わるベンダーはどんなところになるのか。そういったことを考えながら今年もいろいろと取材していきたいと思うところだ。