Appleが閉鎖的でAdobeがオープン
昨日は、Adobeが大々的にプレス向けに戦略説明会を開催した。
米国本社からエグゼクティブが勢揃いし、最新のCS5やその他の製品、サービスの戦略についてプレゼンテーションを行ったのだ。個人的にまず驚かされたのが、CS5の完成度というか新機能のすごさだった。
当日紹介されたのはCS5のほんの一部の機能。その中でもPhotoshopのデリートの機能は、とにかくすごかった。画像の一部を切り取ったあとは普通ただの空白になるが、今回のエンハンスで空白部分の周りの画像から整合性のとれる画像を自動生成し、それで空白を埋めてくれるのだ。これは実物をみないと文章ではなかなかすごさが伝えられない。そのすごさについて、CGで有名な米国の映像制作会社のピクサーの人がこの機能を目の当たりにした際に「これは技術と言ったらいいのか、魔術と言ったらいいのか」と表現したととのこと。こう言ったのも、十分に理解できる素晴らしい機能だと思う。CS5は表参道のstation 5で体験できるそうなので、近いうちに行ってみて、もう少しすごさを確認してこようと思っている。
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ところで、会場で当然のように話題になったのは、iPhoneやiPadでのFlash対応について。
記事にもあるように、Adobeは、今後iPhone向けのFlashには投資をしないと発言。昨日の発表会でも「Flashのイノベーションは今後も続けていく。我々はたくさんのパートナーとオープンに協力していくけれど、Appleはその選択をしなかった。アドビはオープンなパートナーと協力していく」とのことで、Andoridへのシフトを表明していた。これ、Appleは閉鎖的で、Adobeはオープンなのだよという話だ。昔はAdobeのほうがなんとなく閉鎖的というか囲い込み感が強いイメージもあったが、たしかにここ最近のAppleは囲い込み感がかなり強く漂っているかもしれない。
結果的にユーザーが何を選ぶかだとAdobeは言う。つまり、すでにあちらこちらで数多く使われていていわばデファクトとも言えるFlashを、これからもユーザーは使い続けるはずだということ。とはいえ、iPhoneにしてもiPadにしても無視できないくらいの数のデバイスが、世の中に広まるはず。その際にユーザーは、Flashが使いたいとか、HTML5がいいとかは考えない。自分が使いたいアプリなりコンテンツなりがそこにあり、整然と動いていればいいだけだ。Flashの実績が勝つのか、新たなデバイスの普及がそれを凌駕するのか。とにもかくにも、いまは袂を分けた形の両社、今後再び歩み寄ることはあるのだろうか。その際にユーザーは、デバイスの上で何を使っているのだろうか。