Oracle Beehive登場
Oracle OpenWorld初日の発表の目玉は、Oracle Beehive。これは、統合化されたコラボレーションサーバーだ。
Oracleには、Oracle Collaboration Suite(OCS)という、コラボレーションツールのスイート製品があったが、Oracle Beehiveはその後継製品に位置づけられるもの。しかしながら、製品的にはまったく新しく設計、構築されたものだという。
以前のOCSは、メール、カレンダー、ファイルサーバーといった機能をスイートとして1つの製品にまとめたものにはなっていた。もちろん、データはOracleデータベースに一元管理できるのだけれど、それぞれの機能はある意味独立していて、それらが密に連携するようなものだった。
つまり、スイート製品ではあったけれど、統合化の度合いが極めて高いものではなかったと言えるかもしれない。今回のBeehiveは、統合化の度合いがかなり高い。そして、セキュリティが重要ということで、ID管理とセキュリティまでもが統合化されたものとなったのだ。
これは、企業のコラボレーション環境がフラグメンテーションを起こしていることが問題だったので、それを解決するために生まれたのだと、キーノートセッションのステージでEVPのチャック・ロズワット氏は説明する。多くの企業においては、メールやカレンダー、チャットなどがばらばらなシステムで運用されており、それぞれのアプリケーションごとにデータベースがあり、ユーザー管理を行い、セキュリティポリシーを適用しなければならない。これらの管理は管理者にとっては相当に面倒なものであり、このフラグメンテーション状態を解決するために、Beehiveですべてを1つにしのだと、ロズワット氏は言う。
Beehiveでは、セキュリティーポリシーは、1つだけ持てばいい。メール用、ファイルの共有用といった形で別々に持つ必要はない。ステージでは、Outlookを用いてデモンストレーションが行われた。Beehiveはクライアントを選ばないので、AppleのクライアントでもMozillaでもいい。後ろでBeehiveが動いていても、見た目は従来のOutlookと、とくに変わるところはない。
しかし、Beehiveによって、Outlookはさらに使いやすいものになるとのこと。まずは、メールのフォルダが表示されているところに、My Workspaceというフォルダが追加される。これは、Beehive上のWorkspaceであり、テキスト、PowerPoint、Web会議を録音した音声ファイルなど、さまざまなものを簡単に保管できる。さらに、チームのWorkspaceも持つことができる。ここにファイルを置くことで、共有が可能だ。たんにファイルをシェアできるだけでなく、共同作業もできるのだ。これがかなり強力。たとえば、同じPowerPointのファイルを2人で開き、片方が修正しコントロールを別のメンバーに渡せば、同じ画面を見ながら別のメンバーがさらにエディットするといったことも可能なのだ。
チームのWorkspaceを設定するだけで、カレンダーの共有なども自動的に行われる。共有されたカレンダーにあるWebカンファレンスの予定から、直接Webカンファレンスを実行することも簡単にでき、コラボレーションツールとしての統合化の度合いの強力さも伺えた。
今回の製品の肝心なところ、セキュリティ機能も充実している。たとえば、共有するファイルにセキュリティをかけておくと、別のメンバーがコピーしていても所有者が当該ファイルを削除すれば暗号キーがなくなってその後は開くことができなくなる。そして、すべてのファイルの操作が詳細なログで記録されるので、内部統制からの監査ということを考えても安心して使えそうだ。
Beehiveの話を事前に聞いていた段階では、なんだOCSの後継版が出るだけかなと思っていたのだが、ステージでデモを見るとその印象はOCSとは大きく異なるものだった。ファイル共有というよりは、たしかにこれはコラボレーションのための便利なツールとなっている。これ、企業間を超えて使えたりするとかなり便利そうだなぁなんて思ったりもしてしまうのだった。