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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

サブスクリプションモデルになる

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 3月6日、シマンテックがノートン360の出荷を開始した。もちろんこれで、「さんろくまる」ではなく「すりーしっくすてぃ」と読む。

 今回発表の製品内容については、ITmediaの記事などで確認してもらえればと思う。発表会に参加してとくに強く感じたのは、ソフトウェアはライセンス(あるいはパッケージ)を買うモデルからどんどんサブスクリプションモデルに移行しているなということ。

 これを改めて認識させられたのが、ノートン360にはバージョン番号が存在しないということ。発表会の会場でこの件について質問が出て、内部的にはバージョン番号は存在するが製品名に付くバージョン番号というものはないとの解答だった。さらに、今回のノートン360には、更新版ライセンスも存在しない。期限が来たら、新たに1年分の更新権を買うことになる。

 このモデルを突き詰めていけば、ASPあるいはSaaSのモデルに似てくる。ソフトウェアがベンダーのサーバーにあるのか、手元のサーバーにあるのかの違いだけだ。費用の支払い方には、年間いくらなのか月ごとに払うのかといった違いはあるかもしれない。

 Linux OSもすでにサブスクリプションのモデルだ。パッケージ化はされているけれども製品を買うのではなくサポートの費用を負担する。Sunもまた、ほとんどのソフトウェアを無料で提供しているが、サポートは有料というモデルだ。オラクルの場合は、初期にライセンスを購入することにはなるが、結局のところエンタープライズ用途ならばサポート契約を結ぶこととなり、以降の更新はそのなかに含まれる。

 ライセンス売り切りのモデルならば新規ベンチャー企業も参画しやすいが、サブスクリプションモデルだと企業としてかなり体力がないと市場参画するのは難しい。継続的な開発、継続的なサポートサービスを提供できる組織やリソースがないとビジネスが回らないのだ。売れるソフトウェアを開発して一発当てる、といった商売のやり方はかなり難しいということになる。

 比較的この敷居を低くできる可能性は、SaaSのモデルかもしれない。とはいえ、SaaSでも顧客が増えればそれなりに体力は必要だ。こういった方向から考えても、ソフトウェア業界の勢力地図が、今後もどんどん変化しそうな気がしてくる。

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