ソフトウェアのオンデマンド化が本格化するのか
さまざまなメディアで、SunとGoogleの提携の話題が、ニュース報道されている。今回の発表では、Google ToolbarとJava Runtime Enviromentを提携して配布するといった内容に留まったようだが、会見ではOpenOfficeをGoogleのサービスとして提供することもほのめかされたとか。
先月参加していたDreameforceにおいて、オンデマンドCRMの覇者、セールスフォースのマーク・ベニオフCEOは、自分たちのビジネスはYahoo!やGoogleといった新しいインターネット・ビジネスをおこなっている企業と同じ市場にあり、今後のライバルはマイクロソフトだ、と明確に語っていた。中小規模の企業がExcelやAccessを使っておこなっている業務を、ライセンス購入型の大げさなERPで置き換えるのではなく、オンデマンド型のサービスで置き換えるという考えれば、この話は納得がいく。
とはいえ、直接的にセールスフォースの領域とマイクロソフトの領域が、オンデマンドサービス市場でぶつかるには、まだかなり時間がかかると考えていた。それに対し、今回のOpenOfficeとGoogleの組合せは、即座にマイクロソフトのOffice市場と対立する。マイクロソフトも、うかうかしてはいられない。今後顧客層が拡大し、より広い技術レベルの人々がワープロや表計算ソフトを使うようになるならば、PCにソフトウェアをインストールし常にセキュリティパッチに気を配るという状況は結構辛い。この面から考えても、オンデマンド型のOffice製品を使うメリットは高い。
ワープロや表計算ソフトを使いたい人は、PCの設定やインストールをしたいわけではないので、使うことに集中できるオンデマンド型のサービスは受け入れられやすいだろう。友人からワープロの使い方を訊かれても、OSやソフトのバージョンを気にせずにアドバイスできるということは、サービス提供側のサポート体制においても大きなコスト削減が可能となる。OpenOfficeとGoogleの組合せが実現すれば、オンデマンドサービスへのこれまで以上に大きな波がやってきそうな予感がする。
前出のマーク・ベニオフ氏は、企業のコンセプトとして「NO Software」を掲げている。Googleなどの新しい企業が、これを実現する日も近いのか。オンデマンド型のサービスが本格的に普及したおりには、セキュリティやストレージ、ネットワークインフラなど新たなシステム要求が発生する。オールドタイプのベンダーは、オンデマンドサービスを模索するのか、次代の新たな需要に目をつけるのか、大きな選択を迫られそうだ。