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ソフトウェアの守備範囲が広くなれば品質基準も多様になる - 白熱塾「自動車産業とアジャイル開発」で気づいたこと

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1月10日にデンソークリエイト本社で開催された成迫氏主催の「自動車産業とアジャイル開発」白熱塾に参加しました(白熱塾の詳細はこちら、平鍋氏の資料はこちら)。鈴木氏、成迫氏、平鍋氏、福田氏のご講演がありました。その後、フィッシュボウル形式での議論があり、そこでお伝えしたことをここでも書いておきたいと思います。

自動車に関わるソフトウェアが担う役割が増えてきており、自動車産業が扱うソフトウェアも車載だけでなく、サービスとして車内で利用するソフトウェアや車外から使うものもあります。私が講演の中で共感したのは、そうした多様な使われ方や価値の提供の仕方に合わせて高い解像度で整理する必要があるだろうという内容です。もっと柔軟な開発スタイルや品質の捉え方をしましょうという提案でした。会のタイトルは自動車産業とアジャイル開発となっていますが、すべてをアジャイル開発にすべきという話ではなく、整理をした上で適材適所という話もありました。

私からもフィッシュボウルでマイクをお借りして、「外部の人間は無責任で深い事情を単純化し、理想論を話すものです」という前提をお伝えした上で、次のような話をしました。自動車に関わるソフトウェアは規模、求められる品質、かけられるコスト、使える計算リソースといったコンテキストがかなり多様です。もしそれを単一の方法や基準で評価すると齟齬が生まれやすくなります。品質や評価もそれに合わせて多様にすべきですが、厳しい基準を甘くしようとすると批判にさらされやすくなります。すべてにおいてバグゼロというのは理想なのですが、コンテキスト(領域)によっては軽微なバグはある程度許しつつ試行錯誤やスピードを優先してもよいのではないか、そうした領域の設定の難しさや重要性を経営層も含めて理解して、決めていく必要があるのではないかというものでした。また、ミッションクリティカルなシステムと試行錯誤やスピードを優先するエリアは部門を分けている他業種を紹介し、そうした他業種で参考になることはないか吟味する必要があるとお伝えしました。

白熱塾は19時から開始でお酒を飲みながら聞いてもよいというリラックスできる集まりであり、所属組織の枠を超えて情報共有ができる場です。その日、私は昼間に原稿のチェックと打合せが重なり、昼食の機会がなかったので酔いが早くまわったように思います。上のようにお伝えしたかったことが本当にしゃべれたか少し心配ですが(冗長な内容だったと思います...)、何かのきっかけになればと思い、久々にブログエントリにしました。

平鍋氏に以下のコメントと当日資料のURLをいただいたので本文に追記しました。ぜひまた議論したいです。

議論ありがとうございました!「そうした領域の設定の難しさや重要性を経営層も含めて理解して、決めていく必要があるのではないか」というのは本当にその通りで、一つに括ることはもはや不可能だと思います。名前のリンクに、当日の平鍋のスライド、「自動車業界とアジャイル(上ロジと下ロジ)」をアップしておきました。 また議論したいですねー。

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