参加者が消極的なソフトウェアレビューには観点の導入を - Active design reviews -
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1985年のICSE(International Conference on Software Engineering: 国際ソフトウェア工学会議)で"Active design reviews: principles and practices"という論文が発表されている。
論文では参加者が消極的になり欠陥指摘が十分になされなくなることをソフトウェアレビューの問題点として挙げている。その解決にむけてレビューアそれぞれに質問を与え、それに答えてもらうことによりレビュー対象に積極的になり欠陥の指摘にも積極的になってもらう、というものだ。対象ソフトウェアは米国海軍のものである。Active design reviewは数年の実績があり、よい結果を示しているそうだ。
詳細は原典にあたっていただきたいが、具体的には以下のように進めていくのだそうだ。
- 設計をレビュー可能な状態にする。
設計自体と設計の表記の2つにわけ、設計自体については、構造化する、柔軟性を持たせる、実装可能な設計とする、などあるべき姿となるようにする。表記方法には、設計上の仮定を明らかにする、冗長な表現(1つのことを表すのに異なった観点からも説明する)を使うことでエラーを発見しやすくする等を挙げている。 - レビューのタイプを明らかにする。
レビューアごとに責任範囲を明確にし、レビューアごとにレビュータイプを対応づけ目的を明確にする。論文では4つのレビュータイプが挙げられており、(a)設計(における仮定)の妥当性確認、(b)設計の網羅性確認、(c)仮定と機能の一貫性確認、(d)適切に機能が利用できるか、にわけている。 - レビューアを分類する。
特定のデバイスやアプリケーションの専門家、システムの利用者となり得るレビューア、使っている設計方法論の専門家、論理的な不整合をみつけるスキルがあって楽しめる人等に分け、レビュータイプと対応付けていく。
論文では、レビューのタイプとレビューアの対応(の例)が書かれている。上述(a)にはデバイスエキスパートが、(b)にはデバイスプログラマが、(c)には航空電子工学のプログラマが、(d)にはデバイスプログラマが対応するそうだ。さらに、(c)のレビューアに対する質問の具体的内容が書かれている(論文ではそれぞれのレビューアがそれぞれの質問に答えることでレビューへの積極性が増すと主張されている)。
他への応用については特に記載されていないが、レビューの観点とレビューアを結びつけ、レビューアに応じた質問にレビューアに答えてもらうことで積極的な参加を促すという点で参考になるのではないだろうか。
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