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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

業界用語なのか。。レビュー/インスペクション

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ソフトウェアの「レビュー/インスペクション」はテストと同じように大事な技術であるが、その認知度は業界だけのようで、一般にはあまり知られていないように思うことがあった。統計的に根拠のある調査ではないし、調査方法も一定ではないので、あくまで個人的感触だ。

ここをいつも読んでくださっている方の多くには改めて説明の必要はなさそうだが、ソフトウェアのレビュー/インスペクションはテストに先立って(ソフトウェアの)欠陥をみつける技術であり、対象はプロジェクト計画、要求、設計ドキュメント、ソースコード、テスト設計(仕様)、テストケースをはじめとして多岐にわたる。レビュー/インスペクションの目的は品質向上、情報共有、承認にある。ソフトウェアに限らず、ハードウェアの設計においても実施されている。

ソフトウェアのレビュー/インスペクションはかなり広範囲に使われている技術だ。オープンソース、エンタープライズ、組込み、パッケージ/サービスを問わず様々なところで実施され、その効果が報告されている。自動化テストにおいても、自動化方法をきちんとレビューしておかなければ自動化がムダになってしまう。ソフトウェア開発において避けて通れない技術といえる。

業界での定着度合いが高いと世間一般にもそれなりに知られているのではないかと勘違いしてしまうことが私にはあるが、レビュー/インスペクションもその部類に入るようだ。何を世間一般とするか、とか、知っていることの定義を最初にすべきだが、ここではそのあたりをスキップして、ITに興味はあるがプロフェッショナルとして働いているわけではないという方が参加するイベントで感じた内容を書いている。

参加者は全体的に知識が薄いのではなく、アジャイルやウォータフォール等の開発プロセスや設計やコーディングのような工程を知っている、あるいは聞いたことがあるそうだ。しかし、レビュー/インスペクションを知らないという方がおり、その割合が大きいと感じた。あくまで個人的感触で裏付ける数値はないのだが。。。

「テスト漏れ」というような表現でニュース、新聞に出ることはあるが「レビュー/インスペクションでの見逃し」というのは出ないからだろうか。ハードウェアのテストにおいて、実機と計測装置を使った映像や破壊テストとかをテレビが流すことがあっても、設計図面を前にエンジニアが頭を突き合わせて議論しているという様子はなかなか流れないからだろうか。

レビューというと映画、音楽、書籍の紹介コメントのほうが有名らしい。似ていなくはないが、そっちのレビューは対象はもとより、完成品に対するものという点で異なる。

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