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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

勝負では勝たない

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打合せ後や会食中の雑談で何回かあがった話。大手の管理職の方から聞くことが多いように思う。これまでいろいろな勝負を勝ち進んできたのではないかと推測してしまうので、そのような言葉を聞くのは毎回意外だ。

さらに「競合との勝負を除き、勝敗が明確になる勝負に勝っていいことはそれほど多くない。目的を達成しつつ、勝敗を明確にしない方法はいくらでもある。敢えて勝ったことを明確にしたり、ましてや勝つことを目的にする必要はない。また、勝ちそうなときは勝敗がなるべく明確にならないよう動くときもある」と続ける人もいらっしゃる。

そういう局面はそこそこあるように思うし、ソフトウェア開発においても同様の局面があるだろう。露骨に勝利を誇るような指摘やオレのほうがすごい設計ができる/コードがかけるという話をチームメンバや他人にしていると何を目指した指摘や話なのかわからなくなることがあるように思う。わざわざ勝っていることを明示する必要はないし、他にも勝てるところはいろいろとあるだろう。複数人でのレビューがうまくいかないときには、単なる勝敗ミーティングになっている場合もあるのではないだろうか。

そういうときは指摘や話が成果物の品質向上、納期短縮に貢献しているかをいったん考えてみてもよいように思う。他者の不具合をみつけること、それをうまく伝えることでも書いたが、指摘の前に、何を目的とした指摘なのかを今一度考える必要があると思う。指摘によって自身のプレゼンスをあげようとしているということであれば、指摘によってどの程度品質や納期に貢献できたかをもって考えたほうがよいように思う。プレゼンスをあげるためだけの材料はもっといろんなところに潜んでいるだろう。

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