オルタナティブ・ブログ > 森崎修司の「どうやってはかるの?」 >

計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

nearshore開発

»

オフショアの第一歩はnearshoreと呼ぶ隣国へのアウトソースからというパターンが多いという事例紹介を聞いた。このエントリこのエントリと関連するが、ソフトウェアの分散開発に関するテーマを中心とした会議の1コマである。

事例紹介はシステムインテグレーションやソフトウェア開発を請け負い、nearshore、オフショア開発している北米の企業によるものだった。欧州の中ではラトビアやロシアがnearshore先としてよくあげられるそうだ。事例紹介以外でも、会議の休憩時間に他の参加者との立ち話で質問してみると、隣国に接している国の多いヨーロッパでnearshoreが盛んになりつつある話が聞けた。

電話やビデオ会議による同時間帯での打合せが難しかったり、メールの返事が即座に返ってくる時間帯が短くなるため、時差のあるオフショアにはコミュニケーションを十分に考慮した計画が必要になる。nearshoreでは時差の問題はそれほど大きくならない上、最悪の場合には現地に向かえるという安心感がよいのかもしれない。

事例紹介されていた企業では、nearshore、オフショア(北米からロシアへ)の実績が相当数あるそうだ。2300名の社員と11拠点を擁している企業である。事例紹介では特に語られなかったが、nearshoreをはじめとしてオフショア開発で効果のある分野や信頼性、納期等についてオフショアに適した条件があるのかもしれない。講演者に質問したところでは、ユーザの業種やパッケージ、エンプラ、組込みに関係なく実績があるとのことだったが...

個人的な感触では、現時点でnearshoreであっても期待に近い結果を出せるのは、nearshoreに適した条件を満たすような案件であると思っている。また、適したコミュニケーションに関する取り決めも十分に検討する必要があると思っている。その限られた条件を明らかにすることやコミュニケーションの方法を考えることは、nearshoreやオフショアの開発だけでなく、その他の開発についても効率向上をもたらす可能性があるのではと考える。ちょっと大胆かもしれないが、たとえば、それをアジャイル系の開発に流用すれば、スケーラビリティのあるアジャイル開発につながる等の新しい展開につながるかもしれない。

Comment(0)