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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

follow-the-sunまたはfollow-the-moonソフトウェア開発

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ICGSE2007で24時間開発の話が基調講演で話されていた。分散開発やオフショアのテーマが中心となる会議で、ICGSEはInternational Conference on Global Software Engineeringの略である。

基調講演はErran Carmel教授によるもので、世界のどこかは常に昼間なので、時差を利用すればより早く開発ができるという話である。開発メンバが各国にいながらソフトウェアは常に開発され続けるというものだ。"follow the sun"という表現はビートルズの歌詞のほうが古いらしいが、シティバンクのCIOの発言からとったものらしい。まだ確立されていない分野だが、10年前くらいにISERNでも議論されていたのを聞いたことがある。

Erran教授によるFollow-the-sun(Follow-the-moon: 夜型の場合)の定義は以下のとおり。

  • 異なるタイムゾーンで2箇所以上の開発拠点
  • 開発拠点同士は相互に強く依存(同じソフトウェアを同時に開発すること)
  • 開発期間の短縮が目的
  • 実際に期間が短縮できること
  • 期間を計測するメトリクスを使っていること

コメントとして、研究的要素(工学的研究)が少ない、一緒の時間帯に働かないと伝達事項をスムーズに連絡できない、次のタイムゾーンの開発チームに作業をわたせるよう(たとえば8時間程度に)作業を分割するのはかなり難しいというような厳しいコメントもあったが、開発スピードを上げることを目的の1つとしてあげる試みは今までになかったコミュニケーションオーバヘッドや再作業の低減につながる可能性があるのではないかと思う。米国の東海岸と西海岸で、設計ドキュメントを対象にして時間短縮の試みをした際にそれなりにうまくいったというコメントもあった。

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