火星移住に向けて着実に宇宙ロケット技術を進化させているイーロン・マスク
半年前に当ブログでもご紹介したイーロン・マスクのSpaceX社について、本日付のWIREDでこんな記事が出ていました。
宇宙船「Dragon」を国際宇宙ステーションとのランデヴー軌道に投入することは成功したものの、その後のロケット再利用テストには惜しくも失敗、ということです。
具体的には、一段ロケットをフロリダ沖約322kmにある全長約90m、幅約50mの海上プラットフォーム「自律スペースポートドローン船」に着陸させようとしたのです。
困難なプロジェクトではありますが、記事を拝読すると、次回は成功を期待させてくれそうです。
宇宙ロケットを再利用する理由は、宇宙ロケットの打ち上げコストを1/100程度までに下げる目標を持っているからです。
イーロンがロケットに使われているアルミ合金・チタン・銅・炭素繊維などの市場価格を調べたところ、これらの材料コストはロケット全体のコストのわずか2%でした。一方、パソコンであれば90%程度。
イーロンにとって、この2%の数字が意味するものは、「ロケットの総コストは大幅に引き下げることが可能だ」ということ。
コスト削減の大きな一環として、ロケット再利用に取り組んでいるのです。
ちなみに、ロケットを1000mまで上昇させ、そのまま着地させて回収する、という実験も成功させています。
イーロンの原動力は、「このまま地球環境破壊が続けば、いずれ人類は地球以外の惑星に住まなくてはいけなくなる。そこで2020年代に人類を8万人火星に移住させる」という問題意識です。
このためには、宇宙ロケットの打ち上げコストを劇的に下げる必要があったわけです。(参考までに、地球環境の破壊を抑えるためにテスラモーター社と太陽光発電のソーラーシティ社という会社も経営しています)
確かなビジョンを持ち、それを実現する戦略を作り、さらにその戦略を実行し、失敗から学びながら、着実に進化させていくイーロン・マスクの取り組みは、今後、ますます目が離せません。