本音と建て前を使い分けられない時代になってきた?
日本経済新聞のサイトに、論説副委員長 飯野克彦さんが書かれた「調査捕鯨のオウンゴール 建前を貫く覚悟が大切」という記事が掲載されています。
水産庁長官が、
「ミンク(鯨)というのは、お刺し身なんかにしたときに非常に香りとか味がいいということで、重宝されている」
「ミンク鯨を安定的に供給していくためにはやはり南氷洋(南極海)での調査捕鯨が必要だった」
と国内の小委員会で発言した内容が議事録に掲載され、これがオランダ・ハーグにある国際司法裁判所で、日本の調査捕鯨をめぐる判決の中で引用されました。
本記事は、以下の言葉で締め括られています。
「少なくとも指導的な立場にある人は、公の場では建前を貫く覚悟が求められる。」
この記事を拝読し、色々と考えさせられました。
世の中は難しいもので、いろいろなしがらみがあって、本音と建前が乖離してしまうケースは少なからずあります。
日本人同士であれば、先の水産庁長官の発言のように、「それは建て前だよ。本音はxxxxだからさ。まぁ、そこのところはさ。察してよ」と言っても、何となくあうんの呼吸で通じます。
しかし海外ではこれが通じません。不本意なことですが、「不誠実である」と見なされてしまいます。
しかも最近は情報公開が進み、公の場での情報は、国内に留まらず、世界中から容易にアクセスされてしまいます。
「日本語だから大丈夫」と思いがちですが、その気になって調べれば、言語はまったく障壁になりません。Google翻訳などのサイトを使えば、すぐに中身は理解できます。
たとえば韓国語で書かれた私の著書の書評は、ハングルを知らない私でも、簡単に読めてしまいます。(→リンク)
グローバルコミュニケーションに慣れている諸外国では、比較的本音と建て前の距離は近いですし、もし乖離している場合は、当記事にあるように建前を崩さないように徹底的にガードを固めます。
現代のビジネスでは、「信頼」はますます大切になってきています。
私も、「考えていること、言っていること、やっていることがそれぞれ一貫していることが大切」と考えて、できるだけ「本音でのコミュニケーション」を心がけています。
実際には、日本のビジネスパーソンは相手の立場に立って考えられる誠実な人たちが多いにも関わらず、「不誠実である」と思われるのはとても残念なことですね。
「本音の建て前は使い分けられる」という発想から、「本音と建て前は一致させる」、「もしわけざるを得ない場合は徹底的に建て前を貫く」という発想に切り替えることで、日本のビジネスパーソンの信頼感はさらに高まっていくのではないかと思います。