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ルース・ベネディクト著「菊と刀」...その70年前の洞察は、現代日本でも息づいている

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ルース・ベネディクト著「菊と刀」を読了し、その後再読しました。

先日ブログでも書きましたが、かなりのボリュームです。

合間を見つけて読み、さらに再読してメモ書きしているうちに、2ヶ月近くかかりました。

 
第二次世界大戦末期、米国にとって日本を理解することが重要課題になりました。

そのような時代背景のもとで、1944年6月に日本研究を委嘱された文化人類学者・ルース・ベネディクトの研究を元に、1946年に出版されたのが本書です。

本書を読むのは学生の時以来三十数年ぶりですが、実際に米国系外資系企業に30年間勤務し、米国人と一緒に仕事をして彼らの考え方に接した自分自身の経験を元に読み返すと、改めてとても深い洞察がなされた本であることがよくわかりました。

必ずしも本書で書かれたことが全て現代の日本でも有効であるとは言えません。既に戦後70年近くで変容した部分もあります。

しかし一方で、本書が書かれて70年近くが経過する現代においても、多くの示唆が得られました。

たとえば、本書を読んでこんなことを色々と考えてみました。

・なぜ、半沢直樹の「倍返し」があれだけ受けたのか?
・なぜ、日本では大成功した創業経営者が叩かれるのか?
・なぜ、日本はサービス残業が多いのか?
・なぜ、娘の同級生への義理チョコ作りでお母さんが一緒に徹夜するハメになるのか?
・なぜ、日本人同士で互いに成果を競わせると、うまくいかないことが多いのか?
・なぜ、日本人は温泉が大好きなのか?
・なぜ、日本人は意外と簡単にあっさりと態度を豹変するのか?
・なぜ、日本は酔っ払い天国なのか?
・なぜ、日本人はお人好しなのか?
・なぜ、日本はコンセンサス社会なのか?
・なぜ、「先輩から教えられたご恩は、後輩に教えることで返す」と考えるのか?

それぞれが大きなテーマですが、実はお互いに深いところで繋がっているのですね。

 

当の日本人にとってなかなか気づかないことが、海外の客観的な分析で鮮やかに解きほぐされています。

今回、時間をかけてじっくりと読むことができ、よかったと思います。

 

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