堀江貴文著の「拝金」・「成金」の2部作を読了
2010年6月に、処女作として出版された「拝金」は、2000年代中頃に堀江さんがライブドアで経験されたことを追体験できる自伝的な小説です。
「拝金」のあとがきに、堀江さんは次のように書いています。
---(以下、引用)-----
お金がないときはやれることに限界があるけど、お金があればやれることがどんどん広がる。つまりお金を持てば持つほど、お金から解き放たれて自由に発想できるようになる。もっといえば、あらゆる欲望、金、女、酒、美食、何でもいいけど、徹底的に浸り切り、欲にまみればまみれるほど、ある瞬間、その欲を突き抜ける、そんな感覚になっていく。
(中略)
でも僕は自分の感じた気持ちをできるだけ多くの人と共有したかった。
(中略)
じゃあ、どうするか?僕の体験した世界を読者に追体験してもらう。これが一番、簡単で確実な方法だ。
だから小説を書いてみることにしました。
---(以上、引用)-----
そして2011年1月に出版された「成金」は、さらに時代をさかのぼって1999年から2000年頃のIT業界を舞台にしたもの。
「拝金」と「成金」を続けて読むと、一種の謎解きのようになっています。
ネットではこれらの作品は色々と批評されているようですが、私は、久し振りに小説の面白さを堪能し、時間を惜しんであっという間に読了しました。
それは恐らく私が、2000年前後のITバブルの時期から、堀江さんが時代の寵児だった2000年代中頃までの様々な出来事を、メディアなどを通じて共有していたからでしょう。
その舞台の主人公だった堀江さんご本人が実体験に基づいて書いているからこそ、圧倒的な説得力を持った世界が描かれたのだと思います。
「成金」のあとがきに、堀江さんは次のように書いています。
---(以下、引用)-----
タイトルの「成金」とは、成金趣味とか行ったネガティブなニュアンスではなく、将棋の歩が金将に成るという本来の意味に基づいている。
前に進まなければ、歩は歩のまま、でも前進して敵陣に突っ込めば、金将に成る。一番弱かった駒が王将を倒す力を獲得するのだ。
---(以上、引用)-----
自分が伝えたいことを、読者に伝える方法論としての小説の威力を、この2つの作品で感じました。