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コミットメントと謝罪、日本と欧米のすれ違い

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あなたは「コミットメント」はどのような意味だと思いますか?

「100%確実に達成しなければならないことで、できなければ責任を取るべきもの」と考えるのではないでしょうか?

武士道の文化があるためか、日本人は「コミットメント」は非常に重いものと考えます。「武士には二言はない」という言葉にもあるように、コミットメントの意味合いが重いために、なかなか日本人はコミットメントしません。これが、米国人には「日本人はコミットメントしない」と写るようです。

一方で、欧米人の場合、80%の自信(Confidence)があればコミットメントし、達成に向けて努力します。当然失敗することもありますが、その場合は「ダメだった。理由はxxxxxだ」と説明します。

これが、日本人から見ると非常に無責任でかつ言い訳をしているように聞こえてしまいます。日本人の場合は、むしろ「長い言い訳はせず、潔く謝るべきだ」という発想になるのではないでしょうか?

ちなみに、カルロス・ゴーンさんの「コミットメント」は、どちらかというと日本人的な意味合いが強いようです。実際、ゴーンさんは2000年度中に日産が黒字達成できなければ辞任すると明言していました。様々な国で仕事をされてきたゴーンさんは、日本人のコミットメントの強さに驚き、コミットメントは日本のサムライ精神そのものであり、コミットメントの強さは日本独特の競争優位性だとも述べています。

逆に言うと、このことは、海外でのコミットメントは日本ほど厳しいものではない、ということの裏返しでもあります。

謝罪の場合も同様の構図があります。

例えば、海外で製造上の問題を起こした日本メーカーの場合、最初に潔く謝り、分析や今後の対応策を示さないことが多いようです。日本の場合、世間は謝罪した事実をもってよしとして、ある程度受け入れますが、欧米社会の場合は「自分に非があると謝罪するなら、何故その分析と対応策を見せないのか? 誠意がない」と言われます。

一方で、日本で問題を起こした海外メーカーの場合、謝罪を行わずに詳しい分析と現在の対応策を示すことがよくあります。欧米社会ではこのスタイルが受け入れられますが、日本社会の場合、「何も謝罪の言葉もなく、分析と今後の約束のみ、とは何事だ。誠意がない」と言われます

お互い、自分が正しいと信じた方法で誠心誠意対応しているにも関わらず、相手から誠意がないと非難されている訳です。

こちらもどちらが正しいということはありません。文化の違いです。国際社会で、日本と海外で誤解が生じるのは、このようなところが原因のようです。

異文化コミュニケーションでは、同一文化内でのコミュニケーションスタイルを改め、相手の社会基準に従ったコミュニケーションを行う必要があります。この点は常に心がけたいものです。

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