タイ国の真実らしきもの その43 タイ人とクレジット
タイ人は、お金を借りることが好きです。そしてお金を貸すことが嫌いです。
例えば、タイのBTSや地下鉄では、予め運賃をチャージするSUICAのようなシステムがあるのですが、日本と違い、半数以上の人が毎回現金で切符(磁気カードやIDチップなどの再利用可能なもの)を買って利用しています。
これは、少しのお金でも、利用していないのにチャージによってお金を預ける(貸す)行為がタイ人には抵抗があるということだと思っています。
あるタイ人に聞いたところ、「お金を銀行が貸してくれるなら、いらなくても絶対借りる、ファイナンス(日本のサラ金のようなもの)と違い利子が安いから・・」と言っていました。どうして必要のないお金を借りるのかという問いには、「お金が多い方が良いでしょう。」という答えが返ってきました。
つまり、タイ人に取って、借りているお金でも手元にあるお金というのは、自由になるお金であり、自分のお金なのです。
そんなタイ人の気質を反映してか、タイではクレジットカードが大流行です。
大抵のタイ人は持てる限りのクレジットカードを持って、クレジットカードで買い物をします。
クレジットカードと言っても銀行引き落としが出来ない、料金をまとめて毎月セブンイレブンなどのコンビニ等で支払うタイプ主流です。
これも銀行口座からの自動引き落としという自分の財産が勝手に減らされることへの抵抗感ではないかと思われます。
段々日本のクレジットカードと同じタイプが増えていますが、まだ古いタイプのクレジットカードが主流のようです。
そして、タイ人が、借りるのが好きでクレジットカードの普及と相まって、クレジットの支払いが出来ないということが多々あるわけです。
クレジットというのは、借りているという感覚がないタイ人ですから、欲しいとなれば、月々ちょっとだけという話を信じてクレジット購入をたくさんします。
ちょっとだけでもどんどん増える毎月の支払いに対して、払えないということが必然としてあるわけです。
そして、利子という感覚がないのも事実です。余分に支払っているという事をちゃんと理解出来ていないと思います。
例えば、大卒の新入社員が車をすぐにクレジットで買ったりします。
頭金だけ両親に出してもらい(実はそれ自体も別のところで借りたりする場合も多いとか)毎月支払いを行うわけです。
毎月5000バーツ ボーナス30000バーツ 7年ローンで車を買ったりします。
タイでの車の値段は、日本の1.5倍から2倍程度です。(ピックアップだけは日本より安かったりします。農家の方が使うからということらしいです。)
給料は、日本の1/3から1/5です。
体感としての車の購入は日本の6倍から10倍ということになります。
大卒の初任給の46か月分で車を買うのです。
絶対に現金購入などできません。
けれど、皆車を欲しがります。
そこで、クレジット(ローン)ということになるのです。
利子よりも毎月の給料で車が買えるということが大切だったりします。
日本では7年も経てば車は当然買い替えです。まあ、平均5年程度ですかね。
そんなこんなで、タイでは車は、ずっと使います。一生物です。
田舎では、家は持てるけれど(建てられる)、車は買えないという人が大勢います。
車検が無い事も重要で、ローンが長い事と相まって、中古自動車が値下がりしません。5年使っても半値まで下がらないのがタイの中古事情です。
話は逸れましたが、そんなに借りるのが好きなら、返せないという事もたくさんでてきます。
中古自動車の何割かは、買い替えではなく、泣く泣く手放した車です。
車は特別ですが、買い替えではなく、家電製品も中古の物が結構存在するのは、クレジットが払えずに商品を回収された物だったりします。
クレジットは、誰でも手軽にショッピングが出来て便利ですが、タイ人の性格と反応すると、結構な社会問題にまで発展する可能性があります。
最初はとても簡単に作れるクレジットカードですが、枚数が増えるにつれて(その分購入限度も増えてくる)審査が難しくなり、もう作れないというところまで行くタイ人も多いのだとか。
また、クレジットでの購入と現金での購入で5%~7%価格が違うお店が存在します。日本と違って、価格が違うことを堂々と告知して販売しています。
今後もっともっと、タイ人とクレジットの関係は親密になるでしょう。
その結果、クレジットのために不幸になる人というのは、日本よりもタイ国の方が遥かに多いと思えるのです。
物価は安いですが、電化製品や車、コンピュータ、携帯などは、日本と同じか、高いのがタイという国です。
物価が安いと収入も少ないのです。
今まで生活に必要ない、無くても生きていけた商品を、手軽に買えるからと購入して不幸になる一般のタイ人。
その片棒を担いでいるかもしれない我々日本人は、単に利益の追求だけでなく、
その国の人々の本当の幸せを考えたビジネスを行っていく義務があるようです。
今日はここまで、またいつかお会いしましょう!