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グローバルIT時代にクリエイターはいかに対応するべきか?を考えます

フォトグラファーも、最強のサービス業である。【読了目安: 3分】

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当エントリーをご覧いただきありがとうございます。フォトグラファーの御園生大地です。


今回は、
すべては記憶に残るサービスのために」金井豊著 フォレスト出版
という本について、書こうと思います。

いきなりですが、この本から私が勝手に受け取ったメッセージを、友達に語ります。


「美容師はメディアでは、アーティストとか職人的な切り口で扱われることが多いよね。でもそれは違うと思う。それはごく一部の側面だよ。実際は美容師業は、「最強のサービス業 」なんだ!」

私がこの本を読んだのは、もう6年くらい前のことです。
当時の私はこの本の主張と、実際のサービス手法のアイディアにとても感動するとともに、 フォトグラファーも全く同じだ!と思いました。

よって、言い換えてみると、

「フォトグラファーはメディアでは、アーティストとか職人的な切り口で扱われることが多いよね。でもそれは違うと思う。それはごく一部の側面だよ。実際はフォトグラファー業は、「最強のサービス業 」なんだ!」

結論から話しました。
だからまだ、ピンときていない方もいらっしゃるかと思います。
改めて、順にお話していきます。

金井氏が「美容師は最強のサービス業だ」と主張する根拠は、このように書いてあります。
技術」「センス」「対人関係能力
その3つの要素を全て「一人で」身につけてサービスを行う必要があるからであり、
そういった職業がちょっと他には見当たらないから。
(例えばレストランというサービス業なら、技術は料理人が、対人関係能力はフロア担当の方が請け負う訳です。)

読んでいて、私は思いました。「フォトグラファーも全く一緒じゃないか!」って。

特にフォトグラファーは、(レタッチやCGの仕事と異なり)クライアントの隣で現在進行形で制作を行う(撮影する)場面が多く、
他のビジュアル製作の仕事に比べて接客業的「対人関係能力」が問われる比重が高めです。


「でも、フォトグラファーって、気に入らないことがあるとアシスタントを怒鳴りつけたり、ひどいとクライアントと喧嘩したりもするイメージがあるよ?
そんな人、最強のサービスパーソンって呼ぶにふさわしいかなあ?」

…もっともです。
古典的なタイプのフォトグラファーの中には、確かにそういう人もいるかもしれません。
よって、ちょっとだけ、最初の主張を変えましょう。

「フォトグラファーはメディアでは、アーティストとか職人的な切り口で扱われることが多いよね。でもこれからは違うと思う。それはごく一部の側面だよ。これからのフォトグラファーは、「最強のサービスパーソン」を目指すべきなんだ!」

私は自分なりに、この本を読んだ6年前から、こういった姿勢で現場に挑んできました。
サービスのノウハウも、この本から具体的に採り入れていきました。
まだまだ至らないところがたくさんあると思いますが、とにかくその時その時の全力で、こういった姿勢で現場に挑んできました。

「写真がよければサービス精神なんてなくていいんだ」という古典的(?)なタイプのフォトグラファーが、まだ世の中には存在するとしたら、そういった人はクライアントに気を使わなくても仕事が来る、充分名前の通った大御所フォトグラファーだったりもします。
逆にあまり腰が低い感じのフォトグラファーなんて、「自信がないのかな?」なんて思われちゃうリスクもあるかも知れません。

それでも!
私はとにかく、こういった姿勢で現場に挑んできました。
(むしろ自信があるからこそ、現場で丁寧に人と接するように心がけているつもりです。
写真と関係のないところで失点するのは、あまりにツマラナイもの!)


そうこうしているうちに、時代の空気が変わってきました。

Google、Dropbox、Skype…
国外に本拠地を置くグローバル企業による、「フリーミアム」と呼ばれるビジネスが、私たちの生活にどんどん入り込んできたのです。
「フリーミアム」とは、ざっくり言えば、
「ネットサービスは、かかる経費が低いので、一部の有料会員様に支えられれば充分やっていけます。大部分のライトユーザーの皆様は無料でOKです。」
というビジネスモデルです。(Googleは広告会社なので厳密には違うのですが)

無料なんですけど、Googleストリートビューも、Dropboxのクラウドサービスも、Skype通話も。
初めてそのサービスに触れたときは、「これは世界が変わる!」と、非常に興奮し、感動したのを覚えています。

でも、僕が今、やっと物心がついたくらいの年代だったら…こんなに感動するかなあ?
これが当たり前って思うんじゃないかなあ?
それ以前の時代を知らなかったら、そしてお金をもらってサービスした経験がなければ、きっと感動しようがないもの。

そうすると、タダであんな素晴らしいサービスを受けて当たり前、なのです。
そんな世代が既にきっといるのです!

そうやって考えてきた場合に、ある疑問が頭をもたげてきます。

私のサービスは、 ドロップボックスに初めて接した時以上の感動があるか?
私の撮影に初めて接したお客様を、初めてストリートビューに接した時以上感動させられているか?

ストリートビューは無料です。
私は撮影料も、レタッチ料も、当然頂いております。
ストリートビューの感動を下回った状態で平気でいたら…これは危険なんじゃないか?

いつしか私は、時間の限り、自分の限界まで納品物のクオリティを上げるべく走り回るようになっていきました。
できれば、ストリートビューとか、Dropbox以上感動してもらいたい!
(現在、そこまではできてないと思いますが、更に精進を重ねます!)

最新のネットサービスへの免疫がない方が私の制作プロセスを見た時に、
「費用対効果的にちょっとやりすぎでは?」って思われている場合があるかも…なのも、わかってるつもりです。(笑)

でも、僕だってむやみに走り回っているわけではありません。
グローバルIT時代特有の状況に対する危機感をもって、必然性のある努力をしているつもりです。
このブログを読んで下さっている層の方には、きっとこの危機感、共感して頂けると思うのです!
(実際に突っ走る道に解決を求めるかどうかは別として。)

今のところ私は、健康を害したりすることもなく(笑)、充実して毎日頑張っております。
(僕の周りには自分よりもっと全然頑張ってる人も知ってるし、そういった方々を尊敬しています!)

次に現場で出会う方が、私の撮影ストリートビューに初めて触れた時以上感動していただけるその日まで。
写真の品質もサービスの品質も上げ続ける」という、信じた道を進もうと思います!

月2回。1日と15日に更新予定。 「グローバルIT時代のフォトグラファー

(次回は、6月1日のam8:00にアップ予定です。)

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