世界の秩序はどうなるのか?
金利の上昇や貿易摩擦を契機としてダウが大幅に下がり、これを受けて日本の株価に影響が出て、更に為替に波及、世界経済が緊密に関連していることから、このような状況が頻繁に起こる。だが、我が国の株式市場は、株価を動かしているのは圧倒的に売買比率の高い海外投資家、そしてその思惑で株価と為替が動くとなると、日本の金融政策はコントロールが難しい。
一方で、高まる各国の保護主義的な動きの中で、貿易に制約がかかり、これが世界経済の成長を阻害し、更には貿易戦争の一端を占める知的財産権に関する争いの中で、技術開発にも影響が出ることが懸念される。国際取引において、力の勝負が繰り返されることが全人類の為に良いのか、またそもそも経済成長が必須なのか、という哲学的な課題は別にして、やはり秩序ある、しかしながら自由な市場での、様々な取引が、それぞれの地域での新たな発展を生み、人類の幸せにつながることが求められることに異論ある人はいないだろう。
だとすれば、不必要な制限を設けて、一方で金融市場のように不必要な力の支配を放置して、本当に人類社会の発展はあるのか、今一度考えてみる必要はないだろうか?もはや米国や中国といった巨大な国家の一人勝ちで世界の均衡が保たれる状況ではないし、不必要な制限が結果としてそれぞれの大国の発展にもマイナスの影響を及ぼす可能性が高いことを認識すべきだ。そしてそのような当面の自国の利益だけを追求することが、結果としてその弱体化につながることを認識しないとすれば、悲劇が舞い降りてくる。
東京都の税収の件で、総理と知事の議論が物別れになったとの報道がある。確かに、東京一極集中で、日本経済に不均衡が生じていることは否めない。だが、税の公平性などを考えた場合、どのような理屈でこの提案されている制度を導入するのか?総理は租税法定主義を本当に理解しているのか?或いは地方自治の独自性をどう評価するのか?そもそも国家が司るべき限られた事務だけに集中して、他の行政は自治体に任せ、その税制度についても、独自性を尊重するようなことは考えられないのか?沖縄の件にしても、本件にしても、益々官邸のファッショ化、唯我独尊が進んでいるように見える。このままでは、限られた人々を除いた日本国民に将来はない。