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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

無駄な反応は却って事態を混乱させる!

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サンフランシスコで慰安婦像が設置されたことについて、現地の日本大使館や領事館が政府からの批判の対象になっているらしい。加えて、例の日韓合意についても、どうも理解不能の対応が韓国政府によってなされている。

この件は、どうも出口のない話であり、事の経緯は別にして既に国家レベルで賠償も終わっており、加えて追加的に不可逆的合意を行ったにも関わらず、様々な行為が行われるのは、要は感情論であり、更に言えば国民性であって、政治的に解決するものではないと思われる。ある意味で、島国の日本は陸続きで、様々な歴史を繰り返してきた諸外国と比べて、歴史に関する感性が薄いという点は否めないし、世界中で起きている様々な紛争の一つの理由もこのような歴史的な関係に基づく感情論であるとすれば、これに対してその都度反応すること自体が、外交としては不適切ではないか?

そもそも、日本の在外公館がこのような行為に対して、これを阻止することが出来るとも思えないし、それはそれとして静観するしかないのではないか?また、日韓合意については、韓国政府がどう対応しようと、我が国は合意に基づいて誠実に粛々と対応するしかないのではないか?

ところで、成人の日の晴れ着の件で、また新興企業の不行状が起きている。以前に旅行会社でも同じようなことがあったと記憶しているが、起業をして急成長し早期にIPOをして儲けたいということなのか、極めて残念であり、且つ憤りを感じる。成人になられた方々の気持ちとか、一生懸命働いて貯めたお金で一生に何度もない海外旅行の機会を楽しみにしていた方々の気持ちをどう考えているのだろうか?

会社というものは、一人ではできない事業を人が集まって、場合によっては出資者の協力を仰いで進めるものであり、事業が社会に何らかのサービスや製品を提供するものである以上、会社は社会の公器であって、金儲けの手段ではない。顧客が満足するサービス・製品を提供することで初めて成り立つものであり、その設立の理念が重視されるべきものだ。ITバブルの頃にも、資金収支計画を持ってきて、IPOまでしか記載がないものが多かった。

IPOは株式公開をして、自己保有株を売却しキャピタルゲインを得るもの、という考え方が蔓延していたように感じる。もちろん成功すればその成果を得ていただいてよいと思うが、少なくともIPOというものは、会社の資金調達の手段であって目的ではないし、IPOをするということは社会の公器である会社が、更にサービスや製品を充実するために事業拡大を行うとか、新たな分野に出ていくとか、そのための資金を調達するためにあるのであって、そのような計画を明示せずしてIPOを目的とした事業計画を立てることなどあり得ない。このような基本的なところを、もっと我が国において徹底すべきではないか、と感じる。

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