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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

政治の安定が良いのか、それとも変革を求めるべきか?

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韓国の政権が揺らいでいる。もちろん韓国という国の社会の特性もあるのだろう。必ず大統領は任期の前後で苦境に陥り、結果として姿を消す。一方で、Brexitやトランプ現象のような、特権階級に対する強烈な反発という面もあるかもしれない。いずれにしても、あまりに権限が絶大なために、その機能不全を起こした場合には大変な事態になるという制度的な問題が一つの大きな理由だと思われる。

これとの対比で見れば、我が国はきちんとした野党が育たないというか、価値観の多様化によって政治課題が複雑に絡み合ってきれいに二分できない中で、結果としての政権の安定が実現している。というか、そもそも戦後日本の政治は安定していて、日本新党や民主党などの政権は一時存在したが、残念ながらその統治能力のなさに国民は辟易し、政権の変動の可能性は当面は少ないと言わざるを得ないし、そもそも微妙なバランスが働いているのか、韓国のようなスキャンダルが起こることは稀だ。

ただ、それで良いのかとなると、これはまた難しい問題で、国民主権の原則すら脅かしかねない安倍政権の政策の流れを見ていると、あまりに長期政権であらせてはならないという気もする。その強引な手法の一つの象徴のように言われているのがIR法案だ。確かに、審議時間は短いし、参議院でいきなり本会議上程という手法も強引であることに変わりはないが、先にも述べたように、この課題は民主党など野党を含めて10年以上行ってきているのであって、唐突という表現は当たらない。

マスコミが、関心を示さずに、ここまで放置してきたから唐突感があるのであって、議論が相当程度の尽くされているのが現実だ。このこと自体、マスコミの責任と言わざるを得ない。加えて、パチンコなどを含めてギャンブル依存症が500万人を超えるなどという数字がいかにも真実であるかの如く喧伝されている。仮にそうだとして、我が国の公営ギャンブルやパチンコパチスロの規模と、現在検討しているIRの規模を比較すれば、それはIRの問題ではなく、逆に現在までの我が国の行政の問題であることは自明の理だ。

そして、IRの議論がされることによって、この問題が浮上し、結果として対策が打たれるのであれば、それこそIRの貢献ではないか?依存症対策もせずに採決するのが怪しからん、ではなく、依存症対策をするためにも、是非IRを認めてその詳細を検討していきましょう、で良いと考える。

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