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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

国会審議の在り方

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IR法案、通称カジノ法案が、衆議院の内閣委員会を通過した。6日に衆議院本会議、その後参議院に付託して、会期内成立を目指している。本件について、そもそも委員会での審議を強行した与党の進め方を野党は非難しているし、マスコミは6時間の審議で採決したことの可否を指摘している。

一般論で言えば、議員立法については確かに野党も含めて合意があった上で審議すべきだと思うし、外資の参入や刑法典という主要法規の例外措置を認める法案であることを考えれば、審議は慎重にというのは理解できる。しかし、この法案の目指すものについては既に10年以上議論されてきたこと、加えてそもそも現在の法案は民主党政権の時代に、民主党が主導した議連で策定されたものがベースとなっているということも勘案すれば、逆に国会での議論を遅らせるために行われている様々な抵抗戦術と同じと言わざるを得ず、もっと実質的な議論をしてほしいと思う限りだ。

確かに、一般論で言えばカジノは悪の巣窟になりうる可能性はあるし、ハマる人もいるだろう。だが、米国をはじめとした様々な国家のこれまでの工夫で、その不透明性は相当程度払しょくされているし、中毒者に対する様々な対応も研究されている。一方で、まだまだ海外からの観光をはじめとした顧客が少ない我が国としては、我が国観光産業のためにも、更には我が国を良く知っていただくためにも、出来るだけ多くの方をお呼びしたいところであり、その一つの手段としてIRがあるとすれば、これに強く反対する理由はない。

ギャンブルが、ヤクザのしのぎだった時代のイメージに囚われることなく、ラスベガスのカジノホテルなどを楽しんで理解を深めてほしいと思う。また、我が国がギャンブルについては、極めて清廉潔癖という勘違いも改めるべきだ。確かに公営ではあるが、JRAは競馬産業としては世界最大の規模だ。他にも、ボート、オートレース、自転車、地方競馬など、公営ではあるものの我が国はギャンブル大国なのであり、そこにカジノが加わるだけなのだ。

更に言えば、ギャンブルではないにしても、極めて類似しているパチンコ産業で動いている資金の量は、マカオの全てのカジノを足したのと同じ程度、だから我が国をギャンブルがない世界から、恐ろしい世界に引き入れるのだと考えるのではなく、新たな選択肢が生まれる、しかも我が国の独特のやり方ではなく、海外の経験を踏まえた厳しい管理で進めると思えば良い。今議論している流れで言えば、一つ一つのIRはかなりの規模だとしても、今のパチンコ産業やマカオ、ラスベガスなどからすれば、その何十分の1というレベルであり、それで世の中が、社会が歪むなどと言う議論自体ナンセンスである。

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