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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

世界への貢献のあり方

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今週は、久しぶりに米国の東海岸へ出張しており、今は帰国の途上で西海岸にいるので、簡単なコメントにしたい。

ワシントンDCで開かれたSTSフォーラムのcouncil meetingに出てきた。STSとは、Science and Technology in Societyということで、日本が提唱して毎年京都で開かれている国際会議だ。科学技術を人類のためにということで、ノーベル賞受賞者を含めた第一線の研究者などが、貴重な時間を使って真剣に議論している姿は、さすがだと感じられたし、このような場を日本の発案で既に10年以上も継続していることは、日本のあまり目立たないが重要な世界への貢献だと思う。

ワシントンでは、途上国の自立に対する協力のあり方について、世銀、IFC、更には中南米の金融支援を行っている米州開銀などと面談してきたが、もちろん相変わらずウォールストリート的な考え方の流れが中心ではあるものの、主要なオフィサーの中に、短期的な視野の収益至上主義の経済制度のあり方に疑問を感じ、分配の公平性などに視野を転じている方々が多かったのには、アメリカという国の懐の深さを感じた。

そして、ある方から聞いた話で、医療分野で成功した日本の研究者・事業家が、ワシントンDCに大きな建物(大邸宅と言ってよい)を購入し、世界中の途上国の起業家のインキュベーションセンターを作っているという事実を知った。たまたま、その中心人物が多少存じ上げている方だったので、より嬉しく思ったのだが、このような試みを心の底から喜んで評価してくれる国際機関のオフィサーにも感動した。

日本の国内では、色々な制度的な制約や、個々の大企業の単独主義などもあって、なかなかこのようなことが進まないが、環境が整っている米国でこのような試みをしている日本人がいることが、ちょっと自慢だ。最近、日本は様々な障壁があり事業を進めにくい、住みにくいと言って海外へ移転する、或いは移住する人が増えてきているが、それはそれとして、是非移転したかの地で、このような人類社会に貢献する試みを進めて欲しいと感じた。

若者は若者で、留学するよりも現地へ行って直接現地の社会に関わり、そこから様々なことを学ぶことで、徐々に世界に貢献するケースが増えてきているが、大企業や功なり名を遂げた方々は、また違う形で世界に、人類社会に貢献できるし、現実にそれを進めている人々がいる。とても心強く思った今回の出張での出来事だ。

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