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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

平和な世界をどうやって作るか?

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日本国民にノーベル平和賞をという活動は、今回は実現に至らなかった。以前にも書いたことがあるが、やはり国民自身が皆戦争の悲惨さを認識し、平和を心から求め、そして憲法9条の本当の大事さを理解しているかというと、私には疑問だし、だからこの活動には違和感を覚える。だが、一方で世界に対して、改めて世界中が平和を達成することの重要性を提示し、その一つの考え方として憲法9条のような有り方があることを広めるために、これを推進することには意義を感じるものでもある。

ちょうどわが国における平和学の中心にいらした坂本義和氏が亡くなった。私が高校時代、平和学なるものの存在を教えてくださった川田侃氏も亡くなって久しい。今一度平和をどう達成するか、世界中で真剣に考えるべき時が来ているような気がする。

この間、米国の15歳で博士号を取った若い女性に会った。そのような頭脳明晰さからは想像もつかないくらい容姿も端麗で、つまらないジョークにもつ付き合える素敵な方だったが、何故か今度は金融の世界で生きるという。もちろん能力ある人なので成果は出すと思うし、立派な選択肢ではあるが、もともと理解系の方でもあり、何故か疑問に感じるところもある。

米国流の金融資本主義が、過度の富の不均衡分配を起こし、これが世界の紛争につながっているというところも、直接的ではないにしても否めないものであって、このあたりは次回会うことがあれば是非聞いてみたいと思っている。

戦争の世紀と言われた20世紀を遥かにしのぐ勢いで世界中で紛争が起きてる現代社会において、どうすれば物理的手段でない形で紛争を解決していくのか?人種、宗教、過去の経緯など、様々な理由で、お互いに憎しみ合うことからしかスタートできない当事者がいる以上、第三者が介入してもなかなかお互いに理解し合った形での協議は期待できない。

とすれば、何が一番重要か、それは恐らくより若い世代が、敵対する国民などを含めて世界をより理解し、そして他国の人々と触れ合うことではないか?紛争の原因となった様々な要因に直接関わっていない若者たちが、これから自分たちが生きていく社会を、自らのイニシアティブで作っていけるベースを作ることではないか?

その意味で、年齢が若すぎるという指摘もあるようだが、今年のノーベル平和賞の結論は一つの見識だと思う。そして、世界中で子供たちに偏向性のない、そして特定の国家や国民に対する憎悪などを醸成しない、人類社会に関する教育の場を提供することは極めて重要だと考える次第だ。

その分野に日本が貢献できるとすれば、恐らくわが国の戦争の経験を風化させることなくきちんと認識した上で、憲法9条の役割を理解し、平和の素晴らしさを改めて深く心にとどめるというところからしか始まらないと思う。

 

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